スレート屋根を塗装する費用の相場料金は?ケース別比較
スレート屋根は軽量で耐震性に優れた屋根材として、日本の住宅で広く採用されています。
しかし10年を過ぎる頃から色褪せやひび割れなどの劣化が目立ち始め、塗装によるメンテナンスが必要になります。この記事では、スレート屋根塗装の費用相場を劣化状況や塗料の種類ごとに詳しく解説し、検討する際のポイントもご紹介します。
スレート屋根塗装の費用相場・ケース別の価格
スレート屋根塗装の費用相場は、550,000〜1,150,000円前後が一般的です。
この価格には足場費用も含まれています。
費用を左右する主な要素は次の3つです。
- 屋根の劣化状況
- 使用する塗料の種類(シリコン・フッ素・遮熱塗料など)
- 縁切り(タスペーサー)の有無
たとえば30坪の住宅の場合、使用する塗料によって数十万円(200,000円以上)もの差が出ることもあります。
スレート屋根塗装における足場代は、1㎡あたおおよそ700~1,000円前後が相場であり、30坪住宅なら 約70,000~100,000円程度~さらに条件次第で150,000円程度が追加されるケースもあります。
色褪せや軽度な劣化時に塗装するケース
例えば、
- 色褪せが目立つ
- チョーキング現象が見られる
- 軽度のコケや汚れが付着している
- 塗膜の艶がなくなっている
など軽度な劣化時に塗装を行う場合、費用は550,000〜850,000円前後が相場です。
例えば30坪の住宅でシリコン塗料を使用した場合、足場代も含めておおよそ500,000〜700,000円程度が目安となります。
築7~10年程度で色褪せが気になり始めた段階であれば、この価格帯に該当するでしょう。
軽度劣化塗装のメリットと注意点
軽度な劣化の段階で塗装を行う際の具体的なメリットは次の通りです。
- 下地の補修費用が最小限で済む
- 塗装だけで十分な効果が得られる
- 屋根材本体の寿命を延ばせる
一方で注意すべき点もあります。
- 縁切り(またはタスペーサー)を省くと湿気が滞留し雨漏りのリスクが高まる
- 下塗りの選択を誤ると密着性が低下する
- 施工不良があると数年で塗膜が剥がれる
特に縁切りは、スレート屋根塗装で最も重要な工程です。
塗装によって屋根材の重なり部分を塗料で埋めてしまうと、雨水の逃げ道がなくなり雨漏りの原因となります。
必ず見積もりに「縁切り」または「タスペーサー」の項目があるか確認しましょう。
ひび割れや塗膜剥がれが進行している状態で塗装するケース
主な劣化症状として、
- ひび割れ(クラック)が複数箇所に発生
- 塗膜が部分的に剥がれている
- コケや藻が広範囲に繁殖している
- 屋根材の反りが見られる
などの状態に陥っている場合、塗装の費用は700,000〜1,000,000円前後が相場です。
下地補修が必要になるため、軽度劣化の場合より150,000〜200,000円程度高くなります。
築10〜15年程度で一度も塗装をしていない場合、このケースに該当することが多いです。
進行劣化塗装のメリットと注意点
進行した劣化でも早期に対応すれば、葺き替えやカバー工法を回避できる可能性があります。
具体的なメリットとしては次の通りです。
- 葺き替え工事を避けられる
- カバー工法より費用を抑えられる
- 下地補修と塗装で耐久性を回復できる
注意点としては以下が挙げられます。
- 補修が不十分だと効果が短期間で失われる
- 下地の劣化が深刻な場合は塗装では対応できない
- ひび割れ補修にパテ処理が必要で手間がかかる
下地の状態によっては、塗装ではなく葺き替えやカバー工法を検討すべきケースもあります。
築20年以上で一度も塗装していない場合や、雨漏りが発生している場合は、専門業者による診断が不可欠です。
遮熱塗料で断熱性能も高めたいケース
夏季の室温上昇を抑える目的で、遮熱機能を持つ高性能塗料を使用する場合、
- 太陽光を反射して屋根表面温度を下げる
- 屋根表面温度を最大15〜20度低下させる効果がある
- 室内温度を3〜5度程度下げられる
- エアコンの電気代削減につながる
などの効果を得ることができます。
費用は850,000〜1,150,000円前後が相場です。
一般的なシリコン塗料と比較すると、塗料代だけで100,000〜200,000円程度高くなりますが、耐用年数も長い傾向にあります。
遮熱塗料塗装のメリットと注意点
遮熱塗料の最大のメリットは、体感温度の低減と電気代の節約につながりやすいことです。
具体的なメリットは次の通りです。
- 夏場の冷房費を削減できる
- 2階・3階の居室が快適になる
- 屋根材の劣化を抑制する効果もある
- 省エネ・CO2削減につながる
一方で注意すべき点もあります。
- 色によって遮熱効果が変化し、濃色は効果が低い
- 白に近い色が最も効果が高いが屋根には採用しにくい
- 塗膜が汚れると効果が低下する
- 冬場の暖房費削減効果はほとんどない
遮熱塗料の効果を最大限に発揮するには、できるだけ明るい色を選ぶことが重要です。
ただし黒に近い色でも、通常の塗料と比較すれば遮熱効果はあります。
色選びに迷う場合は、遮熱性能と美観のバランスを業者と相談しましょう。
スレート屋根塗装を検討する際のポイント
スレート屋根塗装を成功させるには、いくつかの重要なポイントがあります。
縁切り(タスペーサー)は必須
縁切りは、スレート屋根塗装で非常に重要な工程 です。
塗装によって屋根材の重なり部分が塗料で埋まってしまうと、雨水の排出経路が塞がれて雨漏りの原因となります。
縁切りには 2つの方法があります。
- 従来工法:塗装後にカッターや皮スキで隙間を作る方法(一般的に 30,000〜60,000円程度)
- タスペーサー工法:下塗り後に専用部材を挿入して隙間を確保する方法(一般的な戸建住宅で20,000〜50,000円程度)
現在はタスペーサー工法が主流です。
タスペーサーは1枚のスレートに2個程度挿入されることが多く、一般住宅では700〜1,000個程度使用されるケースがあります。
作業時間も従来工法と比較して短めです。
見積もりに「縁切り」または「タスペーサー」の項目がない場合は、必ず業者に確認しましょう。
この工程を省くと、数年後に深刻な雨漏りが発生する可能性があります。
下塗りの選択が重要
下塗りはシーラーかフィラーの選択で、密着性と仕上がりが大きく変わります。
主な下塗り材の特徴は次の通りです。
- シーラー:吸い込みを抑えて上塗り塗料の密着性を高める
- フィラー:凹凸を埋めて平滑な下地を作る
- 塗料メーカー推奨品を使用することが重要
スレート屋根は吸水性が高いため、下塗りを怠ると上塗り塗料が過剰に吸い込まれ、本来の性能を発揮できません。また屋根材と塗料の相性も重要で、正しい下塗り材を使用することで密着性が確保されます。
屋根材の反りへの対応
屋根材が反っている場合、補修の有無が耐久性に大きく影響します。
- 軽度の反り:タスペーサーで対応可能
- 中度の反り:補修後に塗装
- 重度の反り:塗装ではなく葺き替えを検討
2006年以降のスレート屋根は、アスベスト規制により強度が低下した製品が多く、反りが発生しやすい傾向にあります。
反りが激しい場合は、塗装しても効果が短期間で失われる可能性があるため、専門業者による診断が必要です。
塗料選びの基準
塗料選びの基準としては、
- 耐候性(紫外線や雨風に強い塗料)
- 柔軟性(屋根材の動きに追従できる塗料)
- 遮熱性(夏場の暑さ対策を重視するなら遮熱塗料)
- 耐用年数
などがあげられます。
シリコン塗料は耐用年数10〜15年で費用対効果が高く、最も人気があります。
フッ素塗料は耐用年数15〜20年で初期費用は高いですが、長期的にはコストパフォーマンスに優れます。
まとめ
スレート屋根塗装の費用は550,000〜1,150,000円前後が目安です。
劣化状況と塗料の種類によって費用と耐久性が大きく変動します。
縁切り(タスペーサー)、下塗り材の選択、遮熱性能の条件を含めて選ぶことが、スレート屋根塗装成功のカギです。
特に縁切りは雨漏り防止に不可欠な工程で、見積もりに必ず含まれているか確認しましょう。
また下地の状態によっては、塗装ではなく葺き替えやカバー工法を検討すべきケースもあります。
築20年以上で一度も塗装していない場合や、雨漏りが発生している場合は、複数の業者から診断を受け、最適な方法を選択しましょう。