屋根塗装の塗料はどう選ぶ?屋根材別の選び方と費用相場

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屋根は建物の中で最も過酷な環境に晒される部位であることから、塗装選びも長期的な保護を実現することを前提に行う必要があります。
この記事では、屋根材ごとに相性の良い塗料と、押さえるべき性能、そして費用対効果の考え方まで詳しく解説します。

屋根は外壁より塗料選びが重要な理由

屋根は建物の中で最も厳しい環境に曝される部位です。
そのため、外壁以上に塗料選びが重要になります。

紫外線と熱により劣化スピードが早い

屋根は風雨や紫外線の影響を一番受ける部分であり、外壁よりも劣化が1.5倍も早いとされています。
夏場の屋根表面温度は約70度にまで達するため、塗膜への負担は外壁とは比較にならないほど大きくなります。

雨風・台風・積雪の影響がダイレクト

屋根は建物の最上部にあるため、台風や豪雨、積雪といった気象条件の影響を直接受けます。
特に金属屋根の場合は錆の発生リスクが高く、スレート屋根では雨水の滞留による雨漏りリスクが懸念されます。

外壁よりも「耐候性・遮熱性・密着性」が重視される

屋根は外壁に比べて紫外線や雨などの影響を強く受けるため、屋根塗装の耐用年数は外壁よりも短くなりがちです。
そのため、耐候性や遮熱性、そして屋根材への密着性が高い塗料を選ぶことが、長期的なコストパフォーマンスにつながります。

屋根材別・相性の良い塗料とは?

タイプ 価格帯 メリット デメリット
スレート屋根向け 2,000円~4,500円/㎡ ・遮熱効果で夏の室温上昇を抑制 ・縁切りが必須(未実施だと雨漏りのリスク)
金属屋根向け 4,500円~6,500円/㎡ ・高い遮熱性と耐候性で断熱に効果的 ・下地処理や錆止めが不十分だと早期に劣化する
セメント瓦向け 2,300円~4,500円/㎡ ・防水性が向上し、瓦の劣化を防ぐ
・下塗りで仕上がりが綺麗になる
・瓦に合わせた専用の下地処理が必要になる場合がある
・塗装前に瓦の補修が必須

屋根塗装では、塗料の性能だけでなく屋根材との相性が耐久性を大きく左右します。

スレート屋根(コロニアル)に適した塗料

参考)https://www.lixil-reformshop.jp/shop/SP00001247/case/131072.html

  • 費用相場:1㎡あたり 約2,000〜4,500円前後
     (シリコン系2,000〜2,800円、フッ素系3,800〜4,500円が一般的な相場)
  • 耐用年数:およそ10〜20年
  • 推奨塗料:シリコン/フッ素/無機(高耐久)

シリコン塗料の耐用年数は一般的に約10〜13年、フッ素塗料は約15〜20年、無機塗料は20年以上とされています。
スレート屋根は薄く軽量で熱を受けやすいため、遮熱性能のある塗料を選ぶことで表面温度の上昇を抑え、室内温度の上昇にも一定の抑制効果が期待できます。

スレート屋根向け塗料のメリットと注意点

メリット

  • 遮熱仕様で夏場の室温上昇を抑えやすい
  • 屋根表面温度を最大15〜20度低下させる効果があり、省エネにも貢献

注意点

  • 縁切り(タスペーサー)が必須。ない場合は雨漏りリスクが高まる
  • タスペーサー設置により、雨水の通り道を確保することが重要

金属屋根(ガルバリウム・トタン)に適した塗料

参考)https://homes.panasonic.com/phwk/reform/reformInfo_383.html

  • 費用:1㎡あたり4,500〜6,500円前後
  • 耐用年数:約12〜20年
  • 推奨塗料:フッ素/無機+錆止め

ガルバリウム鋼板の塗装メンテナンスの目安は一般的には15年程度とされています。
金属屋根は熱伝導率が高いため、遮熱塗料との組み合わせが効果的です。

金属屋根向け塗料のメリットと注意点

メリット

  • 遮熱性×高耐候性で断熱対策に最適
  • 遮熱塗料により室内では約1〜3℃程度の低減効果が期待できる

注意点

  • 適切な下地処理(プライマーおよび2液型エポキシ系下塗り材の使用)が必須
  • 錆処理不足の場合は数年で再劣化するリスクあり

セメント瓦に適した塗料

参考)https://www.lixil-reformshop.jp/shop/SP00001062/case/141407.html

  • 費用:1㎡あたり2,300〜4,500円前後
  • 耐用年数:約10〜18年(高耐久塗料では20年以上も可)
  • 推奨塗料:シリコン/フッ素/無機

セメント瓦は吸水性が高いため、防水性能の高い塗料選びが重要です。
塗膜によって吸水を抑えることができるため、凍害や経年劣化を防止できます。
また、モニエル瓦などスラリー層を持つタイプは、適切な下地処理と専用下塗り材の使用が寿命を大きく左右します。

セメント瓦向け塗料のメリットと注意点

メリット

  • 塗膜が防水層となり、雨水の浸透を防止できるため凍害や表面劣化を抑制できる

  • 下塗り材(フィラー)により表面を平滑化できることから、均一な仕上がりになる

  • シリコン・フッ素・無機など耐候性の高い塗料と相性が良く、耐用年数を伸ばすことが可能

注意点

  • スラリー層の除去や専用下塗りが必要な場合がある

  • 吸い込みが強い瓦は下塗りを2回行う必要がある

  • 雨漏りが起こらないように破損・割れの補修を先に行う必要がある

粘土瓦(いぶし瓦/陶器瓦)の場合

粘土瓦は釉薬で表面処理されているため、原則として塗装は不要です。
ただし、以下の部分においては定期的なメンテナンスが必要です。

  • 棟漆喰の補修
  • 金具・板金部分の塗装
  • 谷樋などの付帯部の補修

塗装するのはこれらの補修箇所が中心となります。

粘土瓦向けのメリットと注意点

メリット

  • 瓦本体の耐久性が非常に高い

  • 釉薬が高温で焼き付けられているため色あせや劣化が起こりにくい

  • 塗装が必要ないことからメンテナンス頻度が低く、長期的にコストが抑えられる

注意点

  • 棟漆喰(しっくい)は劣化するため定期補修(10〜20年ごとに)が必須

  • 谷樋・板金など金属部分は錆びやすく、塗装や交換が必要

  • 瓦のズレ・割れは風災・地震で起きやすい

屋根塗装に使用する塗料に求められる性能

屋根塗装では、外壁とは異なる性能が求められます。

遮熱機能(室温低下・省エネ)

遮熱塗料で屋根塗装をした場合、屋根表面温度がおおむね10〜20度前後低下することがあり、その結果、室内の温度上昇を抑えて省エネや冷房費の削減につながるとされています。
特に金属屋根やスレート屋根のように熱を受けやすい素材では、その効果がより顕著に現れます。

低汚染性(水垢・苔の付着防止)

屋根の汚れが付着すると太陽光を反射しにくくなり、遮熱効果が低下します。
低汚染性を持つ塗料を選ぶことで、長期間にわたって性能を維持できます。

付着力(暴風雨・積雪による剥がれを防ぐ)

特に金属屋根では、適切な下地処理と密着性の高いプライマーの使用が必須です。
付着力が不足すると、台風や積雪の際に塗膜が剥がれる危険があります。

屋根の仕上がりを左右するのは「塗料×施工工程」

優れた塗料を選んでも、施工品質が低ければ本来の性能は発揮されません。

縁切り・タスペーサーが雨漏り防止の鍵

スレート屋根では塗装によって屋根材の重なり部分が塞がれるため、縁切りやタスペーサーで雨水の通り道を確保することが必須です。
これを怠ると雨漏りの原因となります。

金属屋根は「錆処理」の有無で耐久年数が変わる

塗装前の下地処理段階で丁寧に錆を落としてから塗料を塗ることが重要です。
サンドペーパーやヤスリで表面の錆を除去し、金属への密着環境を整えます。

下塗りの種類(エポキシ/錆止め/フィラー)が性能に直結

下塗り材の選定は、その後の塗膜の密着性や耐久性を左右します。
屋根材に適した下塗り材を使用することで、本来の性能を最大限に引き出せます。

屋根は外壁以上に施工品質の影響が大きい

屋根は塗装職人の腕次第で質が大きく変わります。
想定する塗料の耐用年数より何年も早く剥がれたりすることもあるため、実績のある業者選びが重要です。

屋根塗装の費用と耐用年数

塗料選びでは、初期コストと長期的なランニングコストのバランスを考えることが大切です。

短期で考えるならシリコン

シリコン塗料は耐用年数10〜13年、単価1㎡あたり約2,000〜3,000円前後で、耐用年数と価格のバランスが良いため、現在最も多く使用されている塗料です。

10年以上住むならフッ素/無機がおすすめ

フッ素塗料は概ね、耐用年数15〜20年で単価3,500〜4,500円前後、無機塗料は耐用年数20年以上で単価4,000〜6,000円前後とされています。
長期間住む予定なら、塗り替え回数を減らせる高耐久塗料のほうがコストパフォーマンスに優れています。

遮熱塗料は快適性の向上に貢献

遮熱塗料は一般的に通常の塗料より単価が高めですが、屋根表面温度が10〜20℃程度低下することもあり、これにより室内温度の上昇を抑えて空調費を節約できるケースがあります。
 室内温度が1℃下がると空調費が約10%削減できると言われており、光熱費削減効果や快適性向上を考えるとおすすめできる手段です。

まとめ

屋根は紫外線・熱・風雨の影響が大きいため外壁以上に塗料選びが重要です。
劣化スピードは外壁の1.5倍とされており、耐候性・遮熱性・密着性を重視した塗料選びが必須です。
最適な塗料は「種類」ではなく「屋根材との相性」で決まります。
また、スレート屋根には縁切り対策、金属屋根には錆止め処理、セメント瓦には吸水対策といったように、屋根材ごとに必要な対策が異なります。
塗料の性能だけでなく、施工工程の品質も仕上がりを大きく左右します。
実績のある業者に依頼し、適切な下地処理と施工を行うことが、塗料本来の性能を最大限に引き出す上でも重要と言えるでしょう。
屋根は日々過酷な環境に晒されている大切な部位です。
適切な塗料選びと確実な施工で、長期的に建物を守りましょう。

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