雨樋工事の費用の相場料金は?ケース別比較
雨樋は、屋根に降った雨水を排水する役割を持った部位です。
しかし経年劣化や台風などの自然災害により、割れや外れ、詰まりといった不具合が発生します。
この記事では、雨樋工事の費用相場を工事内容ごとに詳しく解説し、検討する際のポイントもご紹介します。
雨樋工事の費用相場とタイプ別価格例
| タイプ | 価格帯 | メリット | デメリット |
| 部分交換 | 50,000円~150,000円 | • 工事費用を最小限に抑えられる • 工期が半日〜1日と短い • 足場不要ならコスト削減可 |
• 劣化が広範囲だと再発しやすい • 同じ形状の部材が入手できないことも • 数年後に再工事が必要になる場合も |
| 全交換 | 200,000円~450,000円 | • 排水機能が完全に回復 • 20〜30年メンテナンスフリー • 素材を選び直せる |
• 足場が必要だと費用が上がる • 工期が2〜3日かかる • 外壁塗装と同時でないと足場代が二重に |
| 付帯工事併用 | 300,000円~550,000円 | • 枯れ葉詰まりを防げる • 集水器の性能向上で排水効率アップ • 足場1回で複数箇所を補修可 |
• 劣化状況で追加補修が生じる場合も • 工事範囲が広がると工期も延びる • 事前の現地調査が必要 |
雨樋工事の費用相場とケース別価格例
雨樋工事の費用相場はおおよそ50,000円〜550,000円前後と幅があります。
費用を左右する主な要素は次の通りです。
- 工事範囲:部分交換か全交換か
- 樋の素材:PVC(塩ビ)、アルミ、ガルバリウム、銅など
- 樋の長さ:軒樋と竪樋の合計メートル数
- 設置高さ:1階のみか、2階以上か(足場や高所作業が必要かどうか)
例えば、1階の軒樋の一部だけを足場無しで交換する場合は50,000円〜150,000円程度で済むことが多く、2階建て住宅で雨樋を全交換(足場設置含む)する場合はおおよそ200,000円〜450,000円が一般的な目安です。
さらに、集水器の交換や軒天補修など付帯工事を組み込むと300,000円〜550,000円程度にまで費用が上がるケースがあります。
ただし、素材・工事範囲・地域・劣化状態・足場の有無によって金額は大きく変動します。
雨樋の部分交換工事を行うケース
割れ、外れ、詰まりなど部分的な不具合を補修するケースです。
主な施工内容は以下の通りです。
- 軒樋の割れた箇所を1〜3か所交換
- 外れた竪樋の固定金具を交換
- 継ぎ手部分からの水漏れを補修
- 集水器周辺の詰まりを清掃・修理
費用は50,000〜150,000円前後が目安です。
1階部分で足場が不要な場合は50,000〜80,000円程度で収まるケースが多く、2階部分で足場の設置や高所作業車が必要となる場合は100,000〜150,000円程度になることが一般的です。
ただし、施工範囲・樋の素材・劣化状況・地域・工法などによってこの価格帯を上下する場合もあるため、見積もり内容の確認が重要です。
部分交換工事のメリットと注意点
部分交換工事は、費用を抑えながら機能回復を図ることができます。
具体的なメリットは次の通りです。
- 工事費用を最小限に抑えられる
- 工事期間が半日〜1日程度と短い
- 足場が不要な場合は多くコストを削減できる
- 応急処置として迅速に対応できる
一方で注意すべき点もあります。
- 劣化が全体に広がっている場合は再発しやすい
- 古い雨樋の場合は同じ形状の部材が入手できないケースも
- 部分的な色の違いが目立つ場合がある
- 根本的な解決にならず数年後に再度工事が必要になるケースも
雨樋の設置から20年以上経過している場合や、複数箇所に劣化が見られる場合は、部分交換ではなく全交換を検討した方が長期的にはコストパフォーマンスが良いケースもあります。
雨樋を全交換するケース
経年劣化や歪み、固定不良が広範囲に見られる場合に交換するケースです。
主な施工内容は以下の通りです。
- 既存の軒樋と竪樋をすべて撤去
- 新しい雨樋を設置(軒樋20〜35m、竪樋20〜35m程度)
- 吊金具や固定金具も新品に交換
- 集水器や継ぎ手などの役物も新品に交換
費用は200,000〜450,000円前後が相場です。
一般的な2階建て住宅(延床面積30坪程度)でPVC製の雨樋を使用した場合、材料費と施工費で約200,000〜300,000円程度が目安となり、足場設置費用が必要な場合はおおよそ150,000〜200,000円が加算されます。
結果として合計費用は約350,000〜450,000円程度となることが多いですが、素材・工事範囲・地域・劣化状況によってはこれを上回るケースもあります。
全交換工事のメリットと注意点
全交換工事を行うことで、排水性能が安定しメンテナンス負担を軽減することに繋がります。
具体的なメリットは次の通りです。
- 新品の雨樋で排水機能が完全に回復する
- 向こう20〜30年はメンテナンスフリー
- 素材を選び直すことで耐久性を向上できる
- 固定金具も新品になり台風などに強くなる
- 部分交換を繰り返すより長期的にはコストが抑えられる
注意点としては以下が挙げられます。
- 足場が必要な場合は費用が上がりやすい
- 工事期間が2〜3日程度かかる
- 外壁塗装と同時に行わないと足場代が二重にかかる
特に足場設置費用は全体の約40〜50%を占めるため、外壁塗装や屋根塗装と同時に施工するとお得になります。
雨樋交換と同時に集水器や軒天補修も行うケース
枯れ葉詰まり対策、集水器交換、軒天補修を組み合わせるケースです。
主な施工内容は以下の通りです。
- 雨樋全体の交換
- 落ち葉よけネット(リーフガード)の設置
- 集水器を高性能タイプに交換
- 軒天の腐食部分を補修・塗装
- 破風板の塗装も同時施工
費用はおおよそ300,000〜550,000円前後が目安です。
雨樋交換の基本費用に加えて、落ち葉よけネットの設置で30,000〜50,000円、集水器交換で20,000〜40,000円、軒天補修で50,000〜100,000円程度が追加されることで、総額がこの範囲に達することがあります。
素材の種類や施工範囲、住宅の高さ、地域によって費用は前後する可能性があります。
付帯工事併用のメリットと注意点
付帯工事を組み合わせることで、排水の安定性と耐久性が大幅に向上し再発防止につながります。
具体的なメリットは次の通りです。
- 枯れ葉詰まりによる排水不良を防げる
- 集水器の性能向上で排水効率が上がる
- 軒天の腐食進行を止められる
- 足場を一度組めば複数箇所を同時に補修できる
- トータルコストを抑えられる
注意点としては以下が挙げられます。
- 劣化状況によって追加補修が生じる場合がある
- 工事範囲が広がると工期も延びる
- 事前の現地調査で全体の劣化状況を確認する必要がある
特に軒天は雨樋からの水漏れで腐食していることが多く、雨樋交換のタイミングで確認・補修することで、将来的な大規模修繕を防げます。
雨樋工事を検討する際のポイント
雨樋工事を成功させるには、いくつかの重要なポイントがあります。
素材で耐久性と価格が変わる
PVC(塩ビ):最も一般的で価格が安い(1mあたり2,000〜3,000円)。
耐用年数はおおよそ15〜20年程度、近年の高品質モデルでは20年以上持つケースもありますが、紫外線に弱く劣化しやすい傾向があります。
アルミ:軽量で錆びにくく、耐久性が高い(1mあたり3,500〜5,000円程度。製品によっては6,000円前後のものもある)。
耐用年数は25〜30年で、PVCより10年ほど長持ちします。
ガルバリウム:耐久性と価格のバランスが良い(1mあたり4,000〜6,000円程度)。
耐用年数は20〜25年で、錆に強いのが特徴です。
銅:最高級素材で耐久性が非常に高い(1mあたり5,000〜8,000円以上)。
耐用年数は50年以上とされ、寺院や高級住宅で多く使われます。
コストを最優先するならPVC、長期的な耐久性を重視するならアルミやガルバリウムがおすすめです。
なお、沿岸部や直射日光が強い環境では、素材によって耐久年数が大きく前後する場合があります。
台風被害の多い地域は吊金具の強度を重視
台風被害の多い地域では吊金具の強度を重視することが重要です。
主なポイントは以下の通りです。
- 標準的な吊金具の間隔は60cm程度
- 台風被害が多い地域では40〜50cm間隔に設定
- ステンレス製の吊金具は錆びにくく強度も高い
- 固定方法(釘かビス)も耐風性能に影響する
沖縄や九州、四国など台風の通り道になりやすい地域では、吊金具の設置間隔を狭めることで、強風時の歪みや外れを防止できます。
二階以上の施工は足場の有無がコストに影響
2階以上の施工は足場の有無がコストに影響します。
足場に関する主なポイントは次の通りです。
- 1階部分のみ:足場を組まずに対応できるケースが多く、費用はおおよそ50,000〜80,000円程度
- 2階建て住宅:足場が必要となるため費用が上がり、雨樋交換費200,000〜300,000円に加えて足場代150,000〜200,000円が発生
- 平屋住宅:軒高が低く、はしごで施工できるケースが多いため足場代が不要となることが多い
- 高所作業車で対応できる場合:足場を設置せずに施工でき、機材費は20,000〜30,000円程度と比較的安価に抑えられることがある
外壁塗装や屋根塗装と同時に施工すれば、足場代を一度で済ませられるため、大幅なコストダウンにつながります。
落ち葉よけネットや集水器の形状で排水効率が変わる
落ち葉よけネットや集水器の形状で排水効率が変わります。
主な対策は以下の通りです。
- 落ち葉よけネット:軒樋に設置して落ち葉やゴミの侵入を防ぐ
- 大型集水器:排水能力が高く豪雨時でも活躍
- ゴミ除けネット付き集水器:集水器内部への異物侵入を防ぐ
- 角型雨樋:丸型より排水能力が高い
特に樹木の多い環境や、周辺に山林がある場合は、落ち葉よけネットの設置が効果的です。
まとめ
雨樋工事の費用は50,000〜550,000円前後が目安です。
部分交換、全交換、付帯工事の組み合わせによって総額は大きく変動します。部分交換なら50,000〜150,000円、全交換なら200,000〜450,000円程度が一般的で、落ち葉よけネットや軒天補修などの付帯工事を組み合わせると300,000〜550,000円前後になるケースもあります。
素材、固定金具の強度、排水効率を踏まえて選ぶことが、長期的な満足度につながります。
特に重要なのは素材選び、足場費用の有無、台風・強風対策の3点です。
また雨樋は経年劣化だけでなく、台風・積雪などの自然災害でも破損することがあります。
火災保険に加入している場合、風災・雪災による破損は保険適用の可能性が高いため、工事前に保険会社へ確認しておくと安心です。
複数の業者から詳細な見積もりを取り、現地調査を丁寧に行う業者を選ぶことで、適正価格で質の高い工事が実現します。