外壁塗装の訪問販売は危険です!「この言葉」が出たらアウト
突然インターホンが鳴り、「外壁が傷んでいますね」と声をかけられた経験はありませんか。
外壁塗装の訪問販売は、よく起こりうる消費者トラブルの一つです。
国民生活センターには、訪問販売によるリフォーム工事に関する相談が年間11,000件以上寄せられています。
この記事では、訪問販売でよく使われる手口やトラブル事例、そして断るべき基準を詳しく解説します。
外壁塗装の訪問販売でトラブルが多い理由
外壁塗装の訪問販売でトラブルが多発するのには、明確な理由があります。
外壁は素人に「劣化しているように見せやすい」
外壁の汚れやチョーキング(粉ふき)は、素人目には深刻な劣化に見えることがあります。
悪質な業者はこれを利用し、「今すぐ塗装しないと危険」と不安を煽ります。
築10年以上の住宅は特にターゲットにされやすく、営業マンは色あせやひび割れを見つけると格好のアプローチ材料にします。
外壁塗装は専門知識がないと判断が難しく、言われるままに信じてしまう人が多いのが実情です。
価格の基準が不透明で高額請求しやすい
外壁塗装には明確な定価がありません。
塗料の種類、施工面積、下地処理の内容など、見積もりの内訳を理解するには専門知識が必要です。
この不透明さを悪用し、相場の2倍以上の金額を請求する業者も存在します。
素人には「高いのか安いのか」が分からないため、悪質業者にとって都合のよい商材なのです。
即決を迫ることで判断力を奪う
「今日契約すれば安くなる」「明日からは割引できない」など、その場で契約を迫るのが訪問販売の典型的な手口です。
考える時間を与えず即決させることで、冷静な判断を妨げます。
情報弱者ほど狙われやすい
外壁塗装の相場は30坪の住宅で700,000〜1,200,000円程度です。
この相場を知らなければ、「200万円のところを130万円にします」と言われても、それが高いのか安いのか判断できません。
情報弱者ほど悪質業者のターゲットになりやすいのです。
訪問販売が使う典型的なセールストーク
悪質な訪問販売業者が使うセールストークには、いくつかのパターンがあります。
これらの言葉が出たら要注意です。
「今すぐ塗らないと雨漏りします」
最も多い手口が、恐怖心を煽って即決を迫るパターンです。
「このまま放置すると構造体が腐ります」「来週にも雨漏りするかもしれません」といった言葉で不安を煽り、冷静な判断をさせないようにします。
実際には、外壁の劣化は数日で急激に進行するものではありません。
本当に緊急性があるかどうか、複数の業者に確認することが大切です。
「ちょうど近くで工事していて足場が余ってます」
非常によく使われる営業トークですが、これは疑ってかかるべき言葉です。
「足場を移動するだけなので安くできる」という理論ですが、実際に足場を他の現場から移動して使うことはほとんどありません。
足場は現場ごとに建物の形状に合わせて組み立てるものであり、近くの現場があったとしても、そのまま転用できるケースは稀です。
この言葉が出た時点で、契約を見送るべきです。
「今日契約なら半額にします」
大幅な値引きを提示されると、お得に感じてしまいますが、これも典型的な手口です。
「200万円のところを半額の100万円にします」などと言われた場合、そもそも最初の200万円が適正価格ではありません。
優良業者は最初から適正価格を提示するため、大幅な値引きはできないのが普通です。
値引き幅が大きいほど、最初の見積もりが水増しされていた証拠と考えましょう。
「無料点検しておきますね」
「無料なら」と気軽に応じてしまいがちですが、これも要注意です。
屋根に上がって「ひび割れがあった」と写真を見せてくる業者がいますが、その写真が本当に自宅のものか確認できません。
他の家で撮った写真を見せたり、わざと屋根材を壊して「傷んでいる」と報告するケースすらあります。
見ず知らずの業者を屋根に上げるのは避けましょう。
訪問販売でよくあるトラブル例
訪問販売で契約した結果、どのようなトラブルが発生しているのか、具体的な事例を紹介します。
相場の2〜3倍の高額請求
最も多いトラブルが、適正相場を大きく超える高額請求です。
下地処理の水増し見積もり 見積書の内訳を見ると、足場代が相場の2倍、塗料代が3倍など、各項目が水増しされているケースがあります。
「一式○○万円」としか記載されていない場合は、内訳を確認しようがありません。
詳細な内訳がない見積もりは、それだけで危険信号です。30坪の住宅で700,000〜1,200,000円が相場のところ、2,000,000円以上を請求されたという被害報告も少なくありません。
必要のない追加工事を勝手に提案
契約後に「ついでに直しておいた方がいい」と追加工事を提案されるケースも多発しています。
「屋根も傷んでいるので一緒にやった方がお得」「雨樋が今にも落ちそう」など、緊急性を装って追加工事を勧めてきます。
工事が始まってから「シーリングも交換が必要」「下地が想定以上に傷んでいた」と追加費用を請求されることもあります。
本当に必要な工事かどうか、別の業者にも確認することが重要です。
工事の質が低く数年で再劣化
高額な費用を払ったにもかかわらず、数年で塗装が剥がれてしまうトラブルも報告されています。
外壁塗装は「下塗り・中塗り・上塗り」の3工程が基本です。
しかし悪質業者は、下塗りを省略したり、塗料を薄めて使ったりして手を抜きます。
仕上がりの見た目はきれいでも、内部の施工が不十分だと数年で劣化が始まります。
本来10〜15年持つはずの塗装が、3〜5年で剥がれてしまうケースもあります。
手抜き工事は見た目では分かりにくく、時間が経ってから発覚するため厄介です。
クーリングオフできるのに”できない”と嘘を言われる
訪問販売で契約した場合、法律上は8日以内ならクーリングオフで無条件解約できます。
「もう工事の手配を始めたのでキャンセルできない」「クーリングオフは適用外」などと嘘を言って、解約を阻止しようとする業者がいます。
契約書にクーリングオフの記載がない場合は、8日を過ぎてもクーリングオフが可能です。
困ったときは消費生活センターに相談しましょう。
訪問販売を断るべき基準
訪問販売の営業が来たとき、どのような基準で断るべきかを押さえておきましょう。
「今日決めたら〜」の即決ワードが出たらお断り
「今日契約すれば」「この場で決めてくれたら」という言葉は、冷静な判断をさせないための常套句です。
優良業者は「よくご相談されてから決めてください」と言うものです。
即決を迫る業者は、その時点でお断りしましょう。
外壁塗装は高額な工事です。
その場で決める必要は一切ありません。
点検写真が不自然(異常なアップ・汚れをひび割れに見せかけるなど)
屋根に上がって撮ったという写真が、異常にアップで撮られていたり、汚れを深刻なひび割れのように見せていたりする場合は要注意です。
本当に自宅の写真かどうかも含めて、疑いの目で確認しましょう。
不安な場合は、信頼できる別の業者にドローンなどで確認してもらうのも手です。
塗料のブランド名を言わない(グレード不明は危険)
「高級塗料を使います」としか言わず、具体的なメーカー名や商品名を明かさない業者は信用できません。
塗料の種類によって耐用年数や価格は大きく異なります。
日本ペイントや関西ペイントなど、具体名が出ない場合は要注意です。
グレード不明のまま契約するのは危険です。
総額ではなく”内訳が曖昧”な見積もりは即NG
「一式150万円」としか書かれていない見積もりは、何にいくらかかっているのか分かりません。
足場代、塗料代、下地処理費、人件費など、項目ごとの内訳が明確な見積もりを出す業者を選びましょう。
内訳が不明なまま契約してはいけません。
口コミ・住所・施工実績が確認できない会社も要注意
会社名を検索しても情報が出てこない、住所があいまい、施工実績が確認できないなど、こうした業者は、トラブル時に連絡がつかなくなるリスクがあります。
名刺をもらったら、依頼前に必ずインターネットで会社情報を確認しましょう。
まとめ
外壁塗装の訪問販売は、不安を煽り、即決を迫り、高額な契約を結ばせるのが典型的なパターンです。
「今すぐ塗らないと危険」「今日なら半額」といった言葉が出たら、その場で断るのが正解です。
30坪の住宅で700,000〜1,200,000円程度が適正相場ですが、訪問販売では相場の2倍近い金額を請求されるケースもあります。
複数の業者から見積もりを取り、相場感を把握しておくことが大切です。
断る基準と適正費用を事前に知っておけば、被害は確実に避けられます。
訪問販売で契約を迫られても、その場で決めず、必ず家族と相談し、他の業者にも見積もりを依頼してから判断しましょう。