外壁の白い粉は要注意！チョーキング修理はいくらかかる？

外壁を手で触ったとき、白い粉が指につく現象を、「チョーキング現象」と呼びます。
別名「白亜化現象」とも呼ばれ、築10年前後の住宅で多く見られる症状です。
放置すると建物全体に深刻なダメージを与える可能性があるため、早めの対処が必要とされています。
この記事では、チョーキングの原因から補修費用の目安、業者選びのポイントまで詳しく解説します。
外壁の状態が気になる方は、ぜひ参考にしてください。

チョーキングは”外壁がSOSを出している状態”

チョーキング現象とは、外壁の塗装表面が劣化して粉状になり、チョークのような白い粉が壁面に付着する状態のことです。
外壁塗装の「防水機能が低下してきている」という明確な警告サインといえます。

チョーキングは防水力が弱まったサイン 

外壁に使われる塗料は「顔料」「樹脂」「添加剤」で構成されています。
経年劣化により樹脂成分が分解されると、顔料が粉状になって表面に現れます。
この粉が指につくということは、塗膜の保護機能が失われ始めているということです。

紫外線で塗膜が分解され、雨水を弾けなくなっている 

チョーキングの主な原因は紫外線です。
塗料に含まれる白色顔料(酸化チタン)が紫外線を受けると「ラジカル」という活性酸素が発生し、塗膜の結合を分解してしまいます。
特に日当たりの良い南面やバルコニー周辺で発生しやすく、塗装から5〜10年ほどで症状が現れることが多いです。

サイディング･モルタルなど多くの外壁で必ず起こる劣化症状 

チョーキングは特定の外壁材だけに起こる現象ではありません。
窯業系サイディング、モルタル、ALCパネルなど、塗装されている外壁であればほぼすべてで発生します。
レンガやタイルなど塗装を必要としない素材以外は、いずれチョーキングが起こると考えておきましょう。
粉の色は基本的に白ですが、外壁の色によっては似た色の粉がつくこともあります。

チョーキングの放置で起きるリスク

「粉がつくだけなら大した問題ではない」と考えるのは危険です。
チョーキングを放置すると、以下のような深刻な被害につながる恐れがあります。

外壁が水を吸い、カビ･苔･藻が一気に広がる 

塗膜の防水機能が低下すると、外壁が雨水を吸収しやすくなります。
湿気を帯びた外壁はカビやコケの温床となり、日本の多湿な気候では急速に繁殖します。
見た目が悪くなるだけでなく、カビの胞子はアレルギー症状を引き起こす原因にもなります。

ひび割れの発生率が上がり雨水が浸入しやすくなる 

水分を含んだ外壁は、気温の変化による膨張･収縮を繰り返します。
この動きがひび割れ(クラック)を誘発し、そこから雨水が浸入するという悪循環に陥ります。

下地･断熱材が湿気で傷み補修範囲が拡大する 

雨水が外壁内部に浸入すると、下地材や断熱材が濡れて腐食･膨張を起こします。
木造住宅では構造材にまでダメージが及ぶこともあり、建物の寿命を大幅に縮める恐れがあります。

将来的に塗装だけでは済まないケースになることも

初期段階で対処すれば塗装のみで済むところを放置することにより、下地補修や外壁材の張り替えが必要になる恐れもあります。
修繕費用が数十万円から百万円以上跳ね上がるケースも珍しくありません。
不動産の売却を考えている場合は、外壁の状態が家全体の資産価値に影響することも覚えておきましょう。

チョーキングの進行具合で変わる補修･塗装費用の目安

チョーキングの進行度合いによって、必要な補修内容と費用は大きく異なります。
一般的な30坪程度の住宅を想定した費用相場はおおよそ以下の通りです。

軽度(粉が少量で外壁の色褪せが軽い)

対応:高圧洗浄＋部分補修 

指でこすってもうっすらと粉がつく程度であれば、まだ塗膜の機能は残っています。
高圧洗浄で汚れやチョーキングした粉を除去し、気になる箇所のみ部分補修を行います。

費用相場:20,000〜80,000円前後 

ただし、高圧洗浄だけでは根本的な解決にはなりません。
あくまで応急処置として捉え、数年以内の全面塗装を視野に入れておく必要があります。

中度(粉がしっかり付着･色褪せが目立つ)

対応:外壁塗装(下塗り〜上塗りのフル工程) 

粉が指全体にしっかりとつき、外壁の色褪せも目立つ状態です。
塗膜の防水機能はほぼ失われているため、下塗り･中塗り･上塗りの3回塗りによる本格的な塗装工事が必要です。

費用相場:700,000〜1,200,000円前後 

使用する塗料のグレードによって費用は変動します。
シリコン塗料なら700,000〜900,000円、フッ素塗料なら900,000〜1,200,000円程度が目安です。
長期的なコストパフォーマンスを考えると、耐用年数の長いフッ素塗料や無機塗料を選ぶ方も増えています。

重度(粉が大量＋ひび割れ･シーリング劣化を伴う)

対応:塗装＋シーリング打ち替え＋部分補修 

チョーキングだけでなく、ひび割れやシーリング（目地のゴム材)の劣化も同時に発生している状態です。
塗装前にひび割れの補修やシーリングの打ち替え工事が必要になります。

費用相場:900,000〜1,500,000円前後

劣化の範囲が広い場合は、外壁材の部分張り替えが必要になることもあります。
状況によってはさらに費用がかかる可能性があるため、早めの対処が費用を抑えるポイントです。

自分で判断できるチョーキングのチェック方法

専門業者に依頼する前に、まずは自分でチェックしてみましょう。
特別な道具は必要なく、手で触るだけで確認できます。
ただし、外壁についた汚れやホコリとチョーキングを見間違えることもあるため、以下のポイントを押さえて正確に判断してください。

南面(一番劣化が早い)で指をこすり白い粉がつくか 

紫外線を最も受ける南面は、劣化が一番早く進む場所です。
まずはこの面で壁を指でこすってみてください。
黒っぽい汚れだけなら単なる汚れ、白や外壁と同じ色の粉がつけばチョーキングの可能性が高いです。

粉が指全体にべったりつくか

うっすらと粉がつく程度なら軽度ですが、指全体にべったりと粉がつくようなら、本格的な塗装が必要なレベルまで劣化が進んでいます。

雨だれ跡･色ムラがあるか

外壁に雨だれの跡がくっきり残っていたり、濡れた部分だけ色が変わる（変色する)場合は、防水機能がほとんど失われています。
早急な対処が必要です。

シーリングのひび割れを生じているか

サイディング外壁の場合、目地のシーリングも同時にチェックしましょう。
シーリングがひび割れていたり、隙間ができていれば、チョーキングと合わせて補修が必要です。

チョーキングを発見したら行うべき対策

チョーキングを見つけたら、どのように対処すべきでしょうか。
適切な対策の進め方を解説します。

洗浄だけでは根本解決にならないことが多い

「高圧洗浄で粉を落とせば大丈夫」と考える方もいますが、これは誤りです。
チョーキングは塗膜そのものの劣化なので、洗浄しても塗膜の機能は回復しません。
また、劣化した外壁に素人が高圧洗浄を行うと、かえって壁を傷めてしまう恐れもあります。

塗装が必要かどうかは粉の量＋他の劣化で判断する 

粉の付着量だけでなく、ひび割れ･シーリングの状態･色褪せ具合などを総合的に見て判断します。
複数の劣化症状が同時に出ている場合は、早めの塗装をおすすめします。

業者による写真付き診断で提案してもらう 

信頼できる業者は、点検時に外壁の状態を写真に撮り、どこがどう劣化しているかを具体的に説明してくれます。
「すぐに塗装しないと大変なことになる」と口頭だけで急かす業者には注意が必要です。

見積書に「下塗り材の種類」が書かれている会社が信頼できる

 外壁塗装は下塗り→中塗り→上塗りの3工程が基本です。
見積書に「下塗り材」の種類や数量が明記されているか確認しましょう。
下塗りを省略すると塗料が密着せず、すぐに剥がれる原因になります。
また、複数の業者から相見積もりを取り、内容を比較することも大切です。
極端に安い見積もりは手抜き工事の恐れがあり、逆に高すぎる場合は悪徳業者の可能性もあるため、相場を把握したうえで判断しましょう。

まとめ