ガルバリウム外壁のよくある後悔と実際の費用相場
目次
スタイリッシュな外観と耐久性の高さからガルバリウム外壁は人気を博していますが、実際に採用した人の中には「思っていたのと違った」と後悔するケースも少なくありません。
この記事では、ガルバリウム外壁でよくある後悔ポイントと、新築・リフォーム時の費用相場を詳しく解説します。
ガルバリウム外壁を選んで後悔が生まれる理由
ガルバリウム鋼板は、亜鉛とアルミニウムの合金でコーティングされた優れた外壁材です。
しかし、その特性を正しく理解せずに選ぶと、住み始めてから後悔につながることがあります。
金属外壁ならではの特性を理解しないまま採用してしまう
ガルバリウム鋼板は金属素材のため、窯業系サイディングや塗り壁とは異なる性質を持っています。
衝撃への弱さや音の伝わりやすさなど、金属特有の性質を事前に把握していないと、住み始めてから「こんなはずじゃなかった」と感じることになります。
デザイン性だけで決めると生活環境とそぐわないことも
モダンでスタイリッシュな見た目に惹かれて採用を決める方は多いですが、住んでいる地域の気候や周辺環境との相性を考慮しないと問題が発生します。
特に海沿いの塩害地域や、騒音が気になる幹線道路沿いでは、想定外のトラブルが起きやすくなります。
「メンテナンスが不要」と誤解されやすく期待値がズレる
「ガルバリウムはメンテナンスフリー」という情報を鵜呑みにしている方も多いですが、これは誤解です。
確かに窯業系サイディングより長持ちしますが、定期的な塗装やシーリング補修は必要です。
この認識のズレが後悔につながります。
ガルバリウム外壁でよくある後悔のポイント
実際にガルバリウム外壁を採用した場合に起こりうる後悔のポイントをまとめました。
凹みやすく衝撃に弱かった
ガルバリウム鋼板の厚みは約0.4mm程度と薄いため、衝撃に対して弱い面があります。
強風で飛んできた物がぶつかったり、子どもがボールを当てたり、物干し竿や自転車が接触するだけで凹みが生じることがあります。
深い傷や凹みからは錆が発生する可能性があるため、早めの補修が必要です。
フラットなデザインよりも、ストライプ状のスリムスパンなど凹みに強い形状を選ぶと被害を軽減できます。
雨音・風音が想像より響いた
金属は音を伝えやすい性質があるため、雨が降ると「パラパラ」「バタバタ」と音が響くことがあります。
特に断熱材が入っていない単板タイプの場合、室内まで音が伝わりやすくなります。
寝室が外壁に面している場合は、断熱材一体型のパネルを選ぶことで軽減できます。
夏場の熱が気になった
ガルバリウム鋼板は熱伝導率が高いため、夏場は外壁が非常に熱くなります。
断熱材が施工されていないと、その熱が室内に伝わりやすくなります。
断熱材一体型パネルを採用することで、この問題は大幅に改善されます。
塩害地域で劣化が早かった
ガルバリウム鋼板は錆に強い素材ですが、完全に錆びないわけではありません。
沿岸部など潮風にさらされる地域では、白サビが発生しやすくなります。
一般的な耐用年数は20〜25年ですが、塩害地域では15年前後になることも珍しくありません。
カラーバリエーションが思ったより少なかった
ガルバリウム鋼板の色はブラック、ホワイト、シルバー、ネイビーなどが主流で、窯業系サイディングと比べると選択肢は限られます。
木目調や石目調のデザインも増えてきましたが、リアルさでは窯業系に劣る傾向があります。
メンテ不要”と誤解していた
ガルバリウム鋼板は耐久性に優れていますが、メンテナンスフリーではありません。
紫外線による色褪せや塗膜の劣化は避けられないため、15〜20年を目安に再塗装が必要です。
また、目地のシーリングは10〜15年で打ち替えが必要になります。
ガルバリウム外壁の費用相場(新築・張替え・カバー)
ガルバリウム外壁を採用する際の費用相場を、施工方法別にまとめました。
30坪程度の一般的な住宅を想定しています。
新築時の施工:1㎡あたり7,000〜12,000円前後
新築でガルバリウム外壁を採用する場合、材料費と施工費を合わせて1㎡あたり7,000〜12,000円程度が相場です。
窯業系サイディングの1.5〜2倍程度の費用がかかります。
張替え(30坪目安):1,200,000〜2,500,000円前後
既存の外壁を撤去して新しくガルバリウム鋼板に張り替える場合、30坪の住宅で1,200,000〜2,500,000円程度が目安です。
撤去費用や廃材処分費が含まれるため、カバー工法より高額になります。
カバー工法:1,500,000〜2,800,000円前後
既存の外壁の上から新しい外壁材を重ねるカバー工法の場合、1,500,000〜2,800,000円程度が相場です。
撤去費用がかからない分、張り替えより安くなる傾向がありますが、建物の重量が増すデメリットもあります。
また、断熱性・遮音性に優れた断熱材一体型パネルを選択すると、通常のパネルより200,000〜500,000円程度費用が上がります。
ただし、光熱費の削減や快適性向上を考えると長期的にはお得です。
メンテナンス費用相場とタイミング
ガルバリウム外壁を長持ちさせるために必要なメンテナンスと、その費用相場を紹介します。
外壁塗装:15〜20年で700,000〜1,200,000円前後
紫外線による塗膜の劣化を防ぐため、15〜20年を目安に再塗装が必要です。
チョーキング(触ると白い粉がつく現象)が発生したら塗り替えのサインです。
シーリング打ち替え:10〜15年で200,000〜400,000円前後
外壁材のつなぎ目に使われているシーリング材は、10〜15年で劣化してひび割れや硬化が起こります。
放置すると雨水が浸入する原因になるため、早めの補修が必要です。
凹み補修:10,000〜50,000円前後(範囲による)
小さな凹みや傷の補修は、範囲によって10,000〜50,000円程度です。
錆が発生している場合は追加費用がかかることもあります。
塩害地域ではもう少し早くメンテが必要
沿岸部では、通常より3〜5年ほど早いタイミングでメンテナンスを検討しましょう。
また、3〜4ヶ月に1度程度の水洗いで潮風の影響を軽減できます。
ガルバリウム外壁が向く家・向かない家
ガルバリウム外壁にはメリット・デメリットがあるため、向いている家とそうでない家があります。
向く:モダンデザイン志向/軽量化したい/メンテ頻度を抑えたい家
スタイリッシュでモダンな外観を求める方、建物の軽量化で耐震性を高めたい方、メンテナンス周期を延ばしてトータルコストを抑えたい方には最適な外壁材です。
向かない:海沿い/防音が重要/凹みリスクが多い立地(子ども・駐車動線)
塩害の影響を受けやすい海沿いの地域、幹線道路沿いなど防音性能が求められる環境、子どもの遊び場が近い・車の出し入れで外壁に接触しやすいなど凹みリスクが高い立地、などには不向きです。
後悔を防ぐための選び方
ガルバリウム外壁で後悔しないために、押さえておきたいポイントを紹介します。
断熱材一体型パネルを選ぶと暑さを軽減できる
断熱材一体型パネルは、外気温の影響を受けにくく、遮音効果も高まります。
初期費用は上がりますが、光熱費の削減や居住性の向上を考えると費用対効果は高いです。
衝撃が当たりやすい場所には縦張りより横張りが有利
横張りの場合、傷や凹みができても部分的な補修がしやすくなります。
また、凹凸のあるデザインを選ぶと、フラットなものより衝撃に強くなります。
付帯部の素材と色を合わせて統一感を出す
外壁だけでなく、破風板や鼻隠し、雨樋などの付帯部の素材や色も統一することで、全体的に洗練された印象になります。
シーリングの種類(変成・オートンなど)まで確認すると耐久性が上がる
シーリング材にもグレードがあります。
変成シリコンやオートンイクシードなど高耐久タイプを選ぶと、メンテナンス周期を延ばすことができます。
見積書でシーリングの種類まで確認しましょう。
まとめ
ガルバリウム外壁は優れた外壁材ですが、金属特有の性質を理解したうえで採用することが大切です。
衝撃への弱さ、音の伝わりやすさ、熱伝導率の高さといった特性を事前に把握しておけば、多くの後悔は防げます。
費用は施工方法やパネルのグレードで大きく変わるため、複数の業者から見積もりを取って比較検討しましょう。
断熱・防音・衝撃・塩害への対策を押さえれば、長期的な満足度も高まります。
デメリットへの備えさえしっかりすれば、ガルバリウム外壁は耐久性とコストパフォーマンスに優れた選択肢です。信頼できる業者と相談しながら、最適なプランを見つけてください。