外壁のひび割れ補修にかかる費用の相場料金は?ケース別比較
外壁のひび割れは、放置すると雨水が建物内部に侵入し、構造材の腐食やカビの発生といった深刻なトラブルを招くことがあります。
この記事では、外壁ひび割れ補修の費用相場をケース別に詳しく解説し、工事を検討する際のポイントもご紹介します。
ご自宅の状況に合った最適な補修方法を見つける参考にしてください。
| タイプ | 価格帯 | メリット | デメリット |
| 部分補修 | 150,000円~250,000円 | • 最小限の施工で費用を抑えられる • 工期が1〜2日と短い • 足場不要ならさらにコストダウン可 |
• 根本原因が解消されず再発しやすい • 補修跡が目立ち美観に限界がある • 数年後に再補修が必要になることも |
| 補修+再塗装 | 350,000円~600,000円 | • 防水性能と外観を両立できる • 塗膜が新しくなり耐候性が向上 • ひび割れの再発リスクを軽減 |
• 下地処理が不十分だと補修跡が浮き出る • 塗料と外壁材の相性で剥がれの原因にも • 築年数が長いと塗装だけでは対応しきれない |
| 張り替え | 800,000円~1,200,000円 | • 劣化原因を根本から解消できる • 下地や防水シートも含めて補修可能 • 外観デザインを大きく変えられる |
• 費用が高額で工期も2〜3週間かかる • 部分張り替えは既存外壁との統一が必要 • 2004年以前の建物はアスベスト撤去費用も |
外壁ひび割れ補修の費用相場とケース別価格例
外壁ひび割れ補修の費用相場は、150,000円〜1,200,000円前後です。
費用を左右する主な要素は以下の3つが考えられます。
- ひび割れの深さ:表面の塗膜だけのひび割れか、下地や構造部まで達しているか
- 浸水リスク:雨水が建物内部に侵入しているかどうか
- 補修後の仕上げ方法:部分補修のみか、全体塗装や張り替えまで行うか
ひび割れの幅を測る目安として、0.3mm以下の細いひび割れは「ヘアークラック」と呼ばれ、塗膜の劣化による軽度なものがほとんどです。
一方、0.3mm以上のひび割れは「構造クラック」の可能性があり、建物の構造に影響を及ぼすリスクが高まります。
ひび割れの程度に応じた3つの補修パターンを以下でご紹介いたします。
軽度なひび割れを部分補修のみで対応するケース
塗膜の表面に発生した細かなクラック(ひび割れ)に対して、シーリング材や樹脂を充填して補修するケースです。
ひび割れの幅が0.3mm以下のヘアークラックや、乾燥収縮によるひび割れが対象となります。
費用相場は150,000円〜250,000円前後です。
主な補修方法には以下があります。
- シール充填工法:ひび割れにシーリング材を直接充填し、その後塗装で仕上げる方法。施工単価は1mあたり約700円〜1,000円程度
- カチオン樹脂刷り込み補修:下地補修専用のモルタルをひび割れに沿って刷り込む方法。1箇所あたり約5,000円〜
- Uカット・Vカット補修:ひび割れ部分をU字またはV字にカットし、シーリング材を充填する方法。1mあたり約1,500円〜2,500円
補修範囲が手の届く場所であれば足場が不要なため、費用を大幅に抑えられます。
ただし、2階以上の外壁を補修する場合は足場代(100,000円〜200,000円程度)が別途かかることがあります。
軽度部分補修のメリットと注意点
メリット
- 最小限の施工で防水機能を回復でき、費用が抑えられる
- 工期が短く、1〜2日程度で完了するケースが多い
- 足場が不要な場合はさらにコストダウンできる
- 早期対応により、被害の拡大を防げる
注意点
- ひび割れの根本原因が解消されないため、再発しやすい
- 補修跡が目立つことがあり、美観の回復には限界がある
- 長期耐久性は期待しにくく、数年後に再補修が必要になることも
- 建物全体の経年劣化が進んでいる場合は、応急処置に留まる
部分補修は「今すぐ雨漏りを止めたい」「予算を抑えたい」という場合には有効ですが、外壁全体の状態を考慮した上で判断することが大切です。
築10年以上経過している場合は、全体塗装も含めた検討をおすすめします。
ひび割れ補修後に再塗装を行うケース
ひび割れが複数箇所に発生しており、部分補修だけでは補修跡が目立ってしまう場合に、外壁全体の塗装を実施するケースです。
ひび割れ補修と同時に防水性能と外観の両方を改善できます。
費用相場は350,000円〜600,000円前後です。
工事の流れは以下の通りです。
- 高圧洗浄で外壁の汚れやカビを除去
- ひび割れ箇所にシーリング材や樹脂を充填して下地処理
- 下塗り・中塗り・上塗りの3回塗装で仕上げ
使用する塗料のグレードによって費用は変動します。
- アクリル塗料:最も安価だが耐用年数は5〜7年程度
- ウレタン塗料:バランス型で耐用年数は8〜10年程度
- シリコン塗料:コストパフォーマンスが高く耐用年数は10〜15年程度
- フッ素塗料:高耐久で耐用年数は15〜20年程度
補修+再塗装のメリットと注意点
メリット
- 防水性能と外観の両立ができ、建物全体の印象が一新される
- 塗膜が新しくなることで耐候性が大きく向上する
- ひび割れの再発リスクを軽減できる
- 高弾性塗料を選べば、下地の動きに追従してひび割れを防ぐ効果がある
注意点
- 下地処理が不十分だと、補修跡が塗装後に浮き出てくることがある
- 下地の劣化を見落とすと、数年で再び塗膜がひび割れることもある
- 塗料と外壁材の相性が悪いと、剥がれや膨れの原因になる
- 築年数が長い場合は、塗装だけでは対応しきれない劣化が潜んでいる恐れがある
補修+再塗装を成功させるには「下地処理の品質」が重要です。
見積もり時に下地処理の内容を確認し、手抜きのない施工を行う業者を選ぶことを心がけましょう。
ひび割れが酷く外壁材の張り替えが必要なケース
ひび割れが外壁の深部まで到達し、すでに雨水が建物内部に侵入して構造材に影響を与えている状態です。
塗装や部分補修では対応できないため、外壁材そのものを張り替える必要があります。
費用相場は800,000円〜1,200,000円前後です。
張り替えが必要となる主な症状は以下の通りです。
- 外壁を触ると湿っている、または室内に雨漏りの形跡がある
- サイディングの反りや浮きが目立つ
- 外壁材が剥離してボロボロ崩れてきている
- 築20〜30年以上経過し、外壁全体の劣化が著しい
張り替え工事では、古い外壁材を撤去し、下地の補修を行った上で新しい外壁材を施工します。
主な外壁材の種類と費用目安は以下の通りです。
- 窯業系サイディング:4,000円〜6,000円/㎡(デザイン豊富でコスパが良い)
- 金属系サイディング:3,500円〜5,500円/㎡(軽量で耐久性が高い)
- モルタル:3,000円〜5,000円/㎡(塗り壁ならではの質感)
30坪の住宅で全面張り替えを行う場合、外壁材代・撤去費用・足場代・施工費を含めた総額が上記の相場となります。
外壁張り替えのメリットと注意点
メリット
- 劣化原因を根本から解消できる
- 下地や防水シートも含めて補修できるため、雨漏りの根本を解決できる
- 外壁材を一新することで、建物の外観デザインを大きく変えられる
- 次回の大規模メンテナンスまでの期間が長くなり、トータルコストを抑えられる場合もある
注意点
- 工事費用が高額になり、工期も2〜3週間程度かかる
- 既存外壁との色・質感・意匠の統一を検討する必要がある(部分張り替えの場合)
- 2004年以前の建物はアスベスト含有の恐れにより撤去費用が追加になることもある
張り替え工事は費用がかさみますが、建物の寿命を大きく延ばせる根本的な解決策です。
築年数が20年を超えている場合や、雨漏りが発生している場合は、塗装や部分補修で凌ぐより張り替えを検討する価値があります。
外壁ひび割れ補修を検討する際のポイント
外壁ひび割れの補修を検討する際に、押さえておきたいポイントは以下の通りです。
ひび割れの深さなど診断結果を最優先する
ひび割れの深さ・幅・本数・内部浸水の有無といった診断結果を最優先に判断することが重要です。
見た目だけで「軽度だから部分補修で十分」と決めつけず、専門業者に外壁の状態を正確に診断してもらいましょう。
特に以下の資格を持つ業者は信頼性が高いといえます。
- 外壁劣化診断士
- 雨漏り診断士
- 住宅診断士
- 建築士、施工管理技士
部分補修・補修+再塗装・張り替えの選択肢で比較検討する
「部分補修」「補修+再塗装」「張り替え」の3案で見積もりを取り、費用と耐久性のバランスを比較検討することで最適解が見えてきます。
安さだけで選ぶと、数年後に再補修が必要になり、結果的にトータルコストが高くなることもあります。
契約内容を必ず確認する
工事の保証年数と補修範囲が契約書に明記されているかを必ず確認しましょう。
一般的な業者であれば5〜10年程度の保証が付帯しますが、保証内容や適用条件は業者によって異なります。
「施工後○年以内に剥がれが生じた場合は無償で補修」など、具体的な内容を確認しておくと安心です。
施工実績をチェックする
補修跡の仕上がり事例や施工写真をチェックして、業者の技術力を見極めましょう。
特にひび割れ補修は下地処理の品質が仕上がりに直結するため、過去の施工事例を十分に確認することが大切です。
公式サイトや口コミサイトで実績を確認するのもおすすめです。
まとめ
外壁のひび割れ補修の費用は150,000円〜1,200,000円前後が目安となります。
ひび割れの深さや幅、浸水リスクの有無によって必要な工事内容が変わるため、まずは正確な診断を受けることが大切です。
劣化状況に応じて「部分補修」「補修+再塗装」「張り替え」の3つの選択肢があり、それぞれ費用と耐久性が大きく異なります。
部分補修は低コストで対応できますが再発リスクがあり、長期耐久性は期待しにくい面があります。
補修+再塗装であれば防水性と美観を両立でき、下地処理の品質がその後の耐久性を左右するカギになります。
張り替えは費用が高額になるものの、劣化原因を根本から解消できるため、築年数が経過した建物には有効な選択肢です。
再発を防ぎ、長期的なコストを抑えるためには、診断精度と施工方法の選択が重要なポイントになります。
工事を依頼する際は、保証内容や施工実績をしっかり確認し、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。
外壁のひび割れは「まだ小さいから」と放置すると、雨漏りや構造材の腐食といった深刻なトラブルに発展することがあります。
異変を感じたら早めに専門業者へ相談し、建物の状態に合った最適な補修方法を選びましょう。