外壁カバー工法を行う費用の相場料金は?タイプ別比較
カバー工法は、既存の外壁を撤去せずに新しい外壁材を重ね張りする工法です。
費用を抑えつつ外壁性能を向上できるリフォーム方法として高い人気を誇ります。
この記事では、外壁カバー工法の費用相場をタイプ別に詳しく解説します。
外壁カバー工法の費用相場とタイプ別価格例
外壁カバー工法の費用相場は、一般的な30坪程度の住宅で1,500,000円〜2,200,000円程度となっています。
㎡単価で見ると、12,000円〜30,000円前後が目安です。
費用を左右する主な要素としては、
- 既存外壁の劣化状態(補修の必要性)
- 使用する外壁材の種類とグレード
- 断熱材の有無
- 施工面積(外壁の広さ)
- 建物の階数と形状
- 足場設置の範囲
などがあげられます。
外壁カバー工法は、外壁塗装と比べると2〜2.5倍の初期費用がかかりますが、外壁の張り替えと比較すると大幅にコストを抑えられます。
金属サイディングを使用するケース
外壁カバー工法で最も多く採用されているのが、ガルバリウム鋼板などの金属サイディングです。
軽量で建物への負担が少ないため、カバー工法に最適な素材として広く普及しています。
金属サイディングの主な種類:
- ガルバリウム鋼板:3,500円〜6,000円/㎡
- アルミニウム:5,500円〜9,000円/㎡
施工費込みの相場は1㎡あたり15,000円〜25,000円前後となります。
金属サイディングを使用するケースのメリットと注意点
メリット
金属サイディングは表面にメッキ塗装が施されており、焼付塗装で仕上げられているため、色褪せが起こりにくいのが特徴です。
20年近く経過しても色褪せがほとんど見られないケースも多く、また、塗膜劣化が少ないため、10年〜15年程度の短期的な塗装メンテナンスが不要です。
従来の外壁塗装では10年ごとの塗り替えが推奨されますが、金属サイディングなら長期間メンテナンスフリーで使用できます。
注意点
金属サイディングは雨音が響きやすいという特性があります。
そのため、断熱材併用が望ましいです。
断熱材一体型の金属サイディングを使用することで、遮音性も大幅に向上します。
また、雨がかかりにくい軒下などの箇所は錆が発生しやすいため、年に数回のチェックが推奨されます。
樹脂系サイディングを使用するケース
樹脂サイディングは塩化ビニル樹脂を主原料とした外壁材で、北米では50年以上前から普及しているものの、日本国内でのシェア率は約1%程度と低いのが現状です。
施工費込みの相場は1㎡あたり12,000円〜22,000円前後です。
樹脂系サイディングを使用するケースのメリットと注意点
メリット
樹脂サイディングは耐塩害性が非常に高く、錆びや腐食の心配がほとんどありません。
そのため、海沿いの住宅でも安心して使用できます。
また、紫外線に強く、原料の中に顔料を混ぜ込んでいるため内部まで色が入っており、色褪せしにくい特性があります。
さらに、凍害にも強いため、寒冷地域や海浜地域でも重宝されています。
また、シーリング(コーキング)を使わない「オープンジョイント工法」で施工できるため、10年ごとのシーリング補修が不要です。
メンテナンスフリーで30年〜40年の耐用年数を誇る点もメリットと言えるでしょう。
注意点
日本国内では製造・販売するメーカーが少なく、施工実績のある業者も限られています。
そのため、業者選びが最重要課題といえます。
樹脂サイディングは温度によって素材が伸び縮みするため、施工する季節によって取り付け方法が変わり、工事難易度が高い点を鑑みると、施工経験が豊富な業者に施工してもらうことが求められます。
断熱材併用の高性能化リフォームのケース
外壁カバー工法に断熱材を併用することで、住環境の大幅な改善が期待できます。
断熱材一体型の金属サイディングや、既存外壁との間に断熱材を追加施工するなどの方法があげられ、施工費込みの相場はおよそ1㎡あたり20,000円〜30,000円前後です。
断熱材併用リフォームのメリットと注意点
メリット
外壁が二重構造になることに加え、断熱材が加わることで、夏場は室内温度の上昇を抑え、冬場は室内の暖かさを逃がしにくくなります。
冷暖房の効きが良くなるため、空調効率が大幅にアップし、光熱費の削減効果が期待できます。
また、断熱材は遮音効果も兼ね備えているため、騒音の軽減にも最適です。
線路沿いや幹線道路近くの住宅でも、静かな室内環境を実現できます。
注意点
断熱材なしの標準仕様と比較して、初期費用が高くなります。
全体で300,000円〜500,000円程度の追加費用が発生する場合がありますが、長期的な快適性向上と光熱費削減を考慮すれば、十分に投資価値のあるリフォームと言えるでしょう。
外壁カバー工法のメリット
解体費を抑えつつ外壁性能を向上できる
既存外壁の撤去作業が不要なため、解体費用と廃材処分費を大幅に削減できます。
2004年以前に建てられたアスベストを含んだ外壁の撤去には、特殊な処理費用が発生しますが、カバー工法ならこれらの追加費用を回避できます。
工期も外壁張り替えが3週間前後かかるのに対し、カバー工法なら2週間前後と短縮できます。
断熱性・遮音性を高め快適な室内環境を実現
外壁が二重構造になることで、断熱性と遮音性が向上します。
特に断熱材一体型の金属サイディングを使用すれば、他の外壁材と比較しても優れた断熱性能を発揮します。
夏は涼しく冬は暖かい、一年中快適な住環境の維持が可能です。
外観デザインが一新し住宅価値が向上
豊富なデザインや色の中から選択できるため、建物の印象を大きく変えることができます。築年数が経過した建物でも、外観を新築同様に一新することで、資産価値を高められます。
工期が短く居住しながら施工できる
カバー工法は撤去作業が不要なため、騒音や粉塵の発生が少なく、居住しながらの施工が可能です。
生活への影響を最小限に抑えられるのも大きなメリットです。
外壁カバー工法を検討する際のポイント
既存外壁の劣化(浮き・腐食)を事前に調査
カバー工法を成功させる鍵は、事前調査の徹底です。
既存外壁の下地が著しく劣化していたり、腐食が進行している場合、カバー工法では対応できません。
チェックすべき劣化症状としては、
- 外壁材の反りや割れ
- 広範囲のクラック(ひび割れ)
- 雨漏りの跡
- 下地の腐食
などがあげられます。
専門業者による現地調査を必ず実施し、下地の状態を確認してもらいましょう。
外壁が重くなりすぎない素材を選ぶ
建物の総重量が増加すると、地震による揺れの影響を受けやすくなります。
そのため、カバー工法では軽量な金属サイディングや樹脂サイディングの使用が推奨されます。
窯業系サイディング(14kg〜19kg/㎡)は重いため、耐震性の観点では避けるべきでしょう。
開口部(窓周り)の雨仕舞い設計が重要
外壁を重ね張りすることで壁の厚みが増し、窓周りの納まりが複雑になります。
適切な雨仕舞い(防水処理)を行わないと、雨水が侵入して雨漏りの原因となります。
施工経験豊富な業者に依頼し、開口部の処理を丁寧に行ってもらうことが重要です。
地域の気候(寒冷地・海沿い)に合う素材か確認
寒冷地
凍害に強い樹脂サイディングがおすすめです。
北海道・秋田・新潟などでは施工実績も多く、業者も対応しやすい傾向があります。
海沿い
耐塩害性の高い樹脂サイディングやアルミニウムサイディングが適しています。
ガルバリウム鋼板も錆びにくいですが、定期的なメンテナンスが必要です。
まとめ
外壁カバー工法の費用相場は、㎡単価で12,000円〜30,000円前後、30坪住宅全体では1,500,000円〜2,200,000円程度が目安です。
主なメリットとしては、
- 張り替えより費用・工期を抑えられる
- 断熱性・遮音性が向上し快適性アップ
- 耐候性が高く長期間美観を維持
- 外観を一新して資産価値向上
があげられ、
既存外壁の劣化状況を専門業者にしっかり調査してもらい、適切な材料を選ぶことが重要です。
外壁カバー工法は、適切に施工すれば30年以上の耐久性が期待できる、コストパフォーマンスに優れたリフォーム方法です。
ぜひこの記事を参考に、外壁カバー工法を成功させ、素敵な住環境を手に入れてください。