マンションリノベーションの費用相場、1000万でどこまでできる?
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新築マンション価格の高騰が続く中、「中古マンションを買ってリノベーションする」という選択肢が近年注目を集めています。
しかし「実際いくらかかるの?」「1,000万円あればどこまでできる?」と費用面で不安を感じる方も多いでしょう。
この記事では、マンションリノベーションの費用相場から、失敗しないためのポイントまで詳しく解説します。
中古マンション×リノベーションが選ばれる3つの理由
中古マンション購入+リノベーションという選択が増えている背景には、以下3つのメリットがあります。
【価格】新築価格の2/3程度で良い立地に住まいを持てる
首都圏の新築マンション平均価格は、2025年12月現在で約7,000万円を超える水準まで高騰しています。
一方、中古マンション購入+リノベーションなら、同じエリアでも新築の2/3程度の費用で済むケースが多いです。
過去の試算では、中古購入+リノベーションは新築購入より約1400万円コストを抑えられるという結果も出ています。
しかも、新築は郊外に建つことが多いのに対し、中古なら駅近の好立地物件を選べるのも大きな魅力です。
【自由度】間取り・内装も自由に楽しめる
新築マンションは「できあがった間取り」をそのまま受け入れるしかありません。
一方、リノベーションなら壁を取り払って広いLDKを作ったり、キッチンの位置を変えたり、自分のライフスタイルに合わせた間取りを実現できます。
床材や設備もすべて自分で選べるため、「自分だけの住まい」を作り上げる楽しさがあります。
【資産価値】築20年越えでもリノベ済みなら売りやすい
マンションの資産価値は築年数とともに下落しますが、築25年を過ぎると価格はほぼ横ばいになります。
東日本不動産流通機構のデータでも、築26年以降の価格下落率は非常に小さいことが確認されています。
築古マンションを購入してリノベーションすれば、購入後の価格下落リスクを最小限に抑えられます。
「室内がきれいなら築年数は気にしない」という買い手は多く、将来売却する際も有利です。
規模別・マンションリノベーションの費用相場(70㎡想定)
マンションリノベーションの費用は「どこまでやるか」で大きく変わります。
70㎡(約21坪)を想定した規模別の費用相場は以下の通りです。
1. フルリノベーション(800万~1200万円)
スケルトンリノベーションは、最も自由度の高いプランです。
コンクリートの箱状態から作り直す
天井・壁・床をすべて解体し、コンクリートの躯体だけを残した状態から一新します。
配管や配線もすべて新品に交換するため、築30年以上の物件でも「見えない部分」の不安を解消できます。
解体工事費として200万〜300万円、配管・配線の引き直しに100万円前後かかるのが通常です。
間取りをガラリと変えたい、水回りの位置を動かしたい人向け
壁付けキッチンを対面式に変更したい、浴室を広げたい、大空間のLDKにしたいなど、大胆な間取り変更を希望する方に最適です。
水回り設備のグレードによって費用は変動しますので注意しましょう。
2. 表層リフォーム(400万~600万円)
既存の間取りを活かしつつ、内装と設備を一新するプランです。
間取りはそのままでクロス・床・キッチン・風呂などを新品にする
壁や天井の下地はそのままに、クロスの張り替え、フローリングの交換、水回り設備の入れ替えを行います。
大がかりな解体工事がないため費用を抑えられ、工期も2〜3ヶ月程度と短めです。
元の間取りが気に入っている場合のコスパ重視プラン
表層リフォームは、「間取りは今のままで満足しているが、設備や内装が古い」という場合に最適なプランと言えます。
築10〜20年程度の物件で、配管の状態が良好なら、このプランで十分に新築同様の住み心地を実現できます。
3. 部分リノベーション(200万~400万円)
予算を抑えたい方や、こだわるポイントを絞りたい方向けのプランです。
リビングだけを豪華に改装し、個室はクリーニングで済ますメリハリ型
最も長い時間を過ごすLDKに予算を集中させ、個室は壁紙の張り替えとハウスクリーニング程度に抑える方法です。
キッチンを対面式に変更する、リビングと隣の和室をつなげて広くするなど、ピンポイントで間取りを変えることも可能なので、限られた予算で最大の効果を得たい方におすすめです。
マンションリノベーションの3つの制約
マンションリノベーションは自由度が高い反面、戸建てリノベーションにはない制約があります。
【構造壁】壊せない壁がある場合希望の間取りにできないことも
マンションには「壊せる壁」と「壊せない壁」があります。
構造を支えるコンクリートの壁(構造壁)は撤去できません。
特に「壁式構造」のマンションは構造壁が多く、間取り変更の自由度が低くなります。
物件購入前に専門家への確認が必須です。
【管理規約】「フローリングの防音等級(L45等)」や「電気容量の上限」などの制限
マンションには管理規約があり、リノベーションの内容が制限されます。
フローリングの防音等級や電気容量に上限があり、IHクッキンヒーターの導入が制限されるケースも少なくありません。
工事前に管理規約を確認し、管理組合への届出・承認が必要です。
【共用部分】勝手に交換・塗装できない部位がある
玄関ドアの外側、窓サッシ、バルコニーは「共用部分」に該当するため、個人で交換や塗装を行うことはできません。
窓の断熱性を上げたい場合は、既存サッシの内側に「内窓」を設置する方法が一般的です。
配管や断熱など見えない部分にお金をかける重要性
リノベーションでは、おしゃれな内装に目が行きがちですが、本当に大切なのは「見えない部分」への投資です。
築30年超えなら、床下の給排水管交換が必須
築30年以上の物件に多い鉄製の給排水管は、内部が錆びて詰まりや水漏れの原因になります。
この工事を省くと、入居後に水漏れ事故が発生し、下階への賠償問題に発展するリスクがあります。
配管交換の費用は100万円前後ですが、長く安心して住むための必要投資と考えましょう。
断熱材+内窓で快適性を確保する
古いマンションは断熱性能が低く、外壁に面した壁や窓際が結露しやすい傾向があります。
壁の内側に断熱材を入れたり、内窓を設置したりすることで、結露を防ぎ、冷暖房効率も大幅に向上します。
光熱費の削減にも繋がるはずです。
インフラの更新にお金をかけないと水漏れ事故につながる恐れも
予算が足りないから配管はそのままにするといった判断は危険です。
入居後の水漏れは、修理費用に加え下階への損害賠償など、当初の費用を超える出費になりかねません。
見た目は後から変えられますが、配管は壁や床を壊さないと交換できません。
「ワンストップリノベーション」とは?
中古マンション購入とリノベーションを成功させるには、「どの会社に依頼するか」も重要です。
不動産仲介とリノベ会社を別々だとリノベできない物件を掴むことも
不動産会社とリノベーション会社を別々に依頼する場合、物件購入後に「希望の間取りが実現できない」と判明するリスクがあります。
構造壁の位置、配管の状態、管理規約の制限など、不動産会社だけでは判断できない項目が多いためです。
リノベ費用込みの一体型ローンが組める
物件購入費用とリノベーション費用を合わせて住宅ローンを組む「一体型ローン」を利用すれば、リフォームローンより低い金利で借りられます。
ワンストップ対応の会社なら、この手続きもスムーズです。
物件内覧時に「壁が壊せるか」「水回りが動かせるか」など即判断できる
ワンストップリノベーション会社の多くは、物件内覧に建築士が同行します。
その場で「この壁は壊せる」「キッチンはここまで移動できる」と判断できるため、購入判断がしやすくなります。
リノベーションの可能性を見極めた上で物件を選べるのは、大きな安心材料です。
まとめ
マンションリノベーションは、予算を抑えながら新築以上の満足度を実現する最良の手段です。
新築の2/3程度の費用で、立地も間取りも妥協しない住まいが手に入ります。
ただし構造壁の有無、管理規約の制限、配管の劣化状況など、素人では判断できないポイントが多い点に注意しましょう。
経験豊富な専門家の目が欠かせません。
まずは、理想の物件を見つけ出す前に、リノベーション会社に資金計画の相談から始めましょう。
物件価格+リノベーション費用+諸経費の総額を把握し、無理のない予算を組むことが成功への第一歩です。