平屋リノベーションの費用相場は?1000万で足りる?

老後を見据えて平屋に住みたいと考える方も少なくありませんが、気になるのは費用でしょう。
この記事では、平屋リノベーションの費用相場からパターン別の工事内容、建て替えとの比較まで詳しく解説します。

「終の棲家」として平屋リノベーションが人気の理由

平屋が「終の棲家」として注目される背景には、暮らしやすさと安心感があります。

ワンフロアで完結するバリアフリー

平屋の最大の魅力は、すべての生活空間がワンフロアに収まっていることです。
階段の上り下りがないため、膝や腰への負担がなく、洗濯･掃除･トイレなど日常のあらゆる動作が水平移動だけで完結します。
将来、足腰が弱くなったときも安心して暮らせる「究極のバリアフリー住宅」と言えるでしょう。

家族の気配を感じられる距離感が魅力

平屋はワンフロアに家族が集まるため、自然とコミュニケーションが生まれます。
子どもの様子を見守りながら家事ができる、離れた部屋にいても声が届きやすいなど、家族の気配を感じられる距離感が魅力です。
子育て世帯はもちろん、夫婦二人暮らしのシニア世帯からも「お互いの存在を感じながら、それぞれの時間を過ごせる」と支持されています。

2階がないため構造的に安定しており耐震補強もしやすい 

平屋は2階部分の重量がないため、構造的に安定しています。
重心が低く、地震の揺れに対して倒壊しにくいのが特徴です。
また、2階建てに比べて構造がシンプルなため、耐震補強工事もしやすく、コストも抑えられる傾向にあります。

パターン別･平屋リノベーションの費用相場と工事内容

平屋リノベーションの費用は「何をどこまでやるか」で大きく変わります。
代表的な3パターンを見ていきましょう。

1. 築古の家屋をフルリノベーション(費用:1,000万~1,500万円)

例えば、親から受け継いだ実家をフルリノベーションするパターンなどが該当します。

スケルトン状態にして大掛かりな改修を行う場合 

築年数が経った平屋を「スケルトン」(構造躯体のみの状態)にして、間取りから作り直す方法です。
水回り設備をすべて新品に交換し、壁や天井に断熱材を入れることで、新築同様の住み心地を実現できます。
配管や電気配線の更新も含めると、1,000万〜1,500万円が目安となります。

築40年以上の場合は耐震補強費用がプラスされる

1981年(昭和56年)以前に建てられた「旧耐震基準」の建物は、現行の耐震基準を満たしていない可能性が高いです。
耐震診断の結果次第では、補強工事に250万〜300万円程度が追加でかかることもあります。
ただし、自治体によっては耐震改修に補助金が出る場合があるため、事前に確認しましょう。

2. 中古物件購入+リノベーション(費用:500万~1,000万円)

住みたいエリアで中古の平屋を購入し、リノベーションするパターンです。

物件価格を抑えて､内装や設備にお金をかける賢い買い方 

中古平屋の物件価格は立地や築年数によって様々ですが、新築に比べて大幅に安く購入できます。
物件価格を抑えた分、内装や設備に予算を回すことで、自分好みの住まいを実現できます。
物件価格1,500万円＋リノベーション1,000万円で、総額2,500万円で理想の住まいが手に入ります。

表層リフォームか配管まで交換するかで費用が変わる 

リノベーションの規模によって費用は大きく変動します。
壁紙･床材の張り替えや水回り設備の交換だけなら500万〜800万円程度ですが、給排水管まで交換する場合は追加で100万円前後かかります。
築30年以上の物件では配管が劣化している可能性が高いため、長く住むなら配管交換も検討しましょう。

2階建てを｢減築｣して平屋にする(費用:1,500万~2,000万円)

今住んでいる2階建てを平屋にリノベーションするパターンです。

2階部分を撤去し､屋根を作り直す大規模工事 

子どもが独立して2階を使わなくなった、階段の上り下りが負担になってきたなどの理由で減築を選ぶ方が増えています。
2階部分を解体し、新たに屋根を作り直す大規模工事となるため、費用は1,500万~2,000万円が目安です。

新築するよりは固定資産税などの面で有利 

減築は解体費用や足場代がかさみますが、新築で建て替えるよりは費用を抑えられます。
また、延床面積が減ることで固定資産税が安くなるメリットも享受できます。
新築にすると固定資産税評価額が上がりますが、リノベーションなら基本的に評価額は変わりません。

｢建て替え｣vs｢平屋リノベーション｣｡どっちが得か徹底比較

リノベーションか建て替えか、迷う方も多いでしょう。
以下、4つの観点から比較します。

一般的にリノベーションは建て替えの6~7割の費用で済む

同じ広さの住まいを作る場合、リノベーションは建て替えの6〜7割程度の費用で済むと言われています。
建て替えに3,000万円かかる場合、リノベーションなら1,800万〜2,100万円程度。1,000万円単位でコストを抑えられます。

建て替えは半年以上かかるがリノベーションなら3ヶ月程度

建て替えの場合、解体から完成まで半年〜1年程度かかります。
一方、リノベーションなら3〜4ヶ月程度で完了するケースが多いです。
仮住まいの期間と費用を抑えられるのも大きなメリットと言えるでしょう。

[税金]リノベは固定資産税が上がらない

建て替えると固定資産税評価額が新築扱いとなり、税額が上がります。
一方、リノベーションは大規模な増築をしない限り、固定資産税評価額は基本的に変わりません。
長期的な維持費を考えると、この差は大きいです。

[自由度]リノベもスケルトンなら自由度が高い

間取りの自由度は、ゼロから設計できる建て替えが上です。
ただし、リノベーションもスケルトン工法なら間取りをかなり自由に変更できます。
既存の構造を活かしながら、現代のライフスタイルに合った住まいを作ることは十分可能です。

古い平屋の弱点は？リノベーションで解決すべき必須課題

築古の平屋には共通する弱点があります。
リノベーションで必ず解決しておきたい3つの課題を解説します。

【断熱】天井断熱と窓の二重化は必須 

平屋は2階がない分、屋根からの熱の影響を直接受けます。
夏は屋根からの熱気で室内が暑くなり、冬は熱が逃げて寒くなりがちです。
天井に断熱材を入れる「天井断熱」と、既存窓の内側に内窓を設置する「窓の二重化」は必須の工事です。
断熱性能を上げることで、光熱費も大幅に削減できます。

【採光】天窓(トップライト)や勾配天井で光を入れる 

平屋は建物の中心部に光が届きにくいという弱点があります。
解決策としては、天窓(トップライト)の設置や、天井板を外して勾配天井にする方法が効果的です。
屋根から直接光を取り込むことで、明るく開放的な空間を実現できます。

【防犯】防犯ガラス･シャッター･砂利敷き対策が必要

平屋はすべての窓が1階にあるため、防犯対策が欠かせません。
防犯ガラスへの交換、窓シャッターの設置、窓下への砂利敷き(踏むと音が出て侵入者を威嚇)など、複数の対策を組み合わせましょう。
センサーライトや防犯カメラの設置も効果的です。

おしゃれで快適な平屋にするための間取りアイデア

リノベーションで平屋をより魅力的にする間取りのアイデアを紹介します。

廊下をなくしてLDKを広く取り無駄なスペースを削減 

古い平屋は廊下が多く、空間を無駄にしているケースが少なくありません。
廊下をなくして各部屋をLDKに直結させることで、限られた床面積を最大限に活用できます。
動線もシンプルになり、冷暖房効率も向上します。

古民家カフェのような開放感を演出

天井板を外して構造の梁をあえて見せる「梁見せ天井」は、平屋リノベーションの人気デザインです。
天井が高くなることで開放感が生まれ、古民家カフェのようなおしゃれな雰囲気を演出できます。

ウッドデッキとリビングを繋げて｢セカンドリビング｣として活用する 

リビングにつながるウッドデッキを設置すれば、室内と屋外が一体となった開放的な空間が生まれます。
天気の良い日は「セカンドリビング」として食事やお茶を楽しんだり、BBQスペースとして活用したりと、暮らしの楽しみが広がります。

まとめ

平屋リノベーションは、新築よりもコストを抑えながら理想の暮らしを実現できる選択肢です。
建て替えの6〜7割程度の費用で、バリアフリーで暮らしやすい住まいが手に入ります。

ただし、断熱や耐震性能を向上させることが重要です。
見た目をきれいにするだけでなく、断熱･耐震･防犯といった「住宅性能」を高めることで、長く安心して暮らせる住まいになります。

まずは、平屋の実績が豊富なリノベーション会社に､物件探しや診断から相談しましょう。
専門家のアドバイスを受けることが、成功への第一歩です。