ブロック塀撤去の費用相場は?1mあたり単価と補助金の貰い方
目次
自宅のブロック塀が古くなってきたことに不安を抱えている方も少なくないでしょう。
2018年の大阪府北部地震では、倒壊したブロック塀の下敷きになり小学生が亡くなる痛ましい事故が発生しました。
これをきっかけに、全国の自治体で撤去費用の補助金制度が整備されました。
この記事では、撤去費用の相場から補助金の申請方法、撤去後の選択肢まで詳しく解説します。
なぜ急ぐべき?古いブロック塀を放置する「所有者責任」のリスク
ブロック塀の撤去を「いつかやろう」と先延ばしにして放置していると大きなリスクが伴います。
かつてブロック塀の下敷きになる痛ましい事故
2016年の熊本地震では、倒壊したブロック塀の下敷きになって29歳の男性が死亡、57歳の女性が重傷を負う事故が発生しました。
2018年の大阪府北部地震でも、小学4年生の女の子が命を落としています。
コンクリートブロックは1個あたり約10kgあり、塀が倒れた場合の衝撃は100kgを超えるとも言われています。
傾き・ひび割れ・鉄筋の露出・高さ2.2m超えは倒壊の危険信号
以下のような症状や状況下では、早急な対処が必要です。
- 塀が傾いている、グラつきがある
- ひび割れや亀裂が入っている
- 鉄筋が錆びて露出している
- 高さが2.2mを超えている(建築基準法の上限)
ひとつでも当てはまる場合は、専門業者に点検を依頼することをおすすめします。
通行人に被害が出た場合数千万円の損害賠償責任が問われる
民法717条では「土地の工作物の瑕疵によって他人に損害を生じたときは、所有者が賠償しなければならない」と定められています。
熊本地震の事故では、遺族らがブロック塀の所有者に対し約6,800万円の損害賠償を求める訴訟を起こしました。
「知らなかった」「自分が建てたものではない」という言い訳は通用せず、中古住宅を購入・相続した場合でも責任を負います。
1mで計算?ブロック塀撤去の費用相場と計算方法
ブロック塀の撤去費用は、塀の大きさや状態、周辺環境によって変わります。
ここでは費用の目安と計算方法を解説します。
一般的な撤去費用目安:1㎡(平方メートル)あたり5,000円〜10,000円
ブロック塀撤去の費用相場は、1㎡あたり5,000円〜10,000円程度です。
例えば、高さ2m×長さ10mのブロック塀(面積20㎡)を撤去する場合、100,000円〜200,000円程度が目安となります。
計算式:長さだけでなく「面積」で決まる
撤去費用は「長さ」ではなく「面積(㎡)」で計算されます。
高さ1mの塀と高さ2mの塀では、同じ長さでも費用は2倍近く変わります。
また、基礎まで撤去するかどうかでも費用が変わるため、どこまで解体するのか事前に確認が必要です。
廃棄処分費(ガラ処分費):2tトラック1台で20,000〜40,000円
撤去したブロックは産業廃棄物として処理する必要があります。
廃材処理費用は1トンあたり10,000円〜20,000円程度で、2tトラック1台分で20,000円〜40,000円が目安です。
狭くて手壊しになる場合は人件費も
重機が入れない狭い場所では手作業での解体が必要になります。
人件費は1人あたり1日20,000円〜25,000円程度で、通常2〜4名で作業します。
手壊しになると50,000円〜100,000円以上の追加費用がかかることもあります。
撤去費用が返ってくる補助金制度は?
ブロック塀の撤去には、自治体の補助金を活用できる場合があります。
上手に利用すれば、自己負担を大幅に減らせます。
多くの自治体が「危険ブロック塀等撤去費補助金」を用意
2018年の大阪府北部地震をきっかけに、全国の多くの自治体で補助金制度が整備されました。
補助額は撤去費用の2分の1〜3分の2程度、上限100,000円〜300,000円というケースが多いです。
お住まいの自治体のホームページで確認しましょう。
適用条件は「道路に面している」「高さ1m以上」など
補助金を受けるには、いくつかの条件を満たす必要があります。
主な適用条件は以下の通りです。
- 道路や公園に面しているブロック塀であること
- 高さが80cm〜1m以上であること(自治体により異なる)
- 安全点検で「危険」と判定されたもの
- 撤去後の高さを60cm〜80cm以下にすること
条件は自治体によって細かく異なるため、事前に窓口で相談することをおすすめします。
必ず工事契約前に申請が必要
補助金申請で最も注意すべき点は、必ず工事契約・着工前に申請することです。
先に工事を始めてしまうと、補助金を受け取ることができません。
また、補助金が振り込まれるのは工事完了後となるため、一時的に全額を自己負担する必要があります。
申請から交付決定まで2週間〜1ヶ月程度かかる場合もあるので、余裕を持って進めましょう。
撤去した後はどうする?フェンス設置やオープン外構へ
ブロック塀を撤去した後、そのまま更地にするのか、新たにフェンスを設置するのか。
選択肢とそれぞれの特徴を解説します。
軽量で安全な「アルミフェンス」
ブロック塀の代わりとして最も人気があるのがアルミフェンスです。
軽量で倒壊リスクが低く、地震にも強いのが特徴で、撤去と同時にフェンス設置を依頼すると、別々に頼むより工事費が割安になることが多いです。
自治体によっては、フェンス新設費用にも補助金が出る場合があります。
開放感抜群のオープン外構
「オープン外構」にするという選択肢もあります。
開放感があり敷地が広く見える大きなメリットがある一方、外から丸見えになりプライバシーの確保が難しくなったり、不審者の侵入を防ぐ物理的な障壁がなくなったりなどの注意点もあります。
植栽で目隠しをするなど工夫が必要です。
基礎部分だけ残して上をフェンスにする方法は非推奨
「費用を抑えるため、下のブロックだけ残してその上にフェンスを付けたい」という要望もありますが、これは避けた方が無難です。
古いブロック塀の基礎部分は経年劣化している可能性が高く、新しいフェンスの重みや風圧に耐えられない恐れがあります。
安全性を考えると、基礎から作り直すか、完全に撤去してオープン外構にするかのどちらかがおすすめです。
どこに頼む?解体業者or外構業者
ブロック塀の撤去は、解体業者と外構業者のどちらに依頼すべきでしょうか。
それぞれの特徴を比較します。
[解体業者]撤去は安いがフェンス工事や綺麗な仕上げは苦手な場合も
解体業者は「壊す」作業に特化した専門家です。
撤去費用は外構業者より安い傾向がありますが、撤去後の整地やフェンス設置は別の業者への依頼が必要な場合も考えられます。
「撤去すること」に重点を置く場合は、解体業者の利用をおすすめします。
[外構業者]撤去〜フェンス新設までワンストップ
外構業者はエクステリア全般を手がける専門家です。
撤去から新しいフェンスの設置、整地まで一貫対応できます。
デザイン性を重視した提案も得意で、見た目にこだわりたい方におすすめです。
ただ無くして更地にするなら解体屋、リフォームするなら外構屋がおすすめ
撤去だけしたい、更地にして終わり、という場合は解体業者がコスパに優れています。
一方、新しいフェンスを設置したい、外構全体をリフォームしたいなら外構業者がおすすめです。
いずれも2〜3社から相見積もりを取り比較してから決めましょう。
まとめ
ブロック塀の撤去費用は1㎡あたり5,000円〜10,000円が相場で、廃材処理費や人件費を含めると一般的な住宅で100,000円〜250,000円程度が目安です。
古いブロック塀は地震や台風で倒壊するリスクがあり、通行人に被害が出れば数千万円の損害賠償を問われることもあります。
傾きやひび割れ、鉄筋の露出がないか、一度チェックしてみてください。
多くの自治体では撤去費用に補助金を出しており、上限100,000円〜300,000円程度の補助が受けられれば自己負担は半分以下になります。
補助金を使えば、アルミフェンスへの交換も現実的です。
ただし申請は必ず工事契約の前に行いましょう。
補助金は年度ごとに予算枠があり、早めに締め切られることも珍しくありません。
気になる方は、まず地元業者への見積もり依頼、自治体窓口への相談から始めてみましょう。