コーキング打ち替えの費用相場は?「増し打ち」との違いと雨漏りを防ぐ適正価格
目次
コーキング(シーリング)は、外壁のサイディングボード同士の継ぎ目を埋めているゴム状の素材です。
一見すると単なる隙間埋めに見えますが、実は住宅の防水において最も重要な役割を担っています。
コーキングが劣化すると雨漏りの原因となり、放置すれば数百万円の修繕費用がかかることもあります。
この記事では、コーキング打ち替えの費用相場から「増し打ち」との違い、信頼できる業者の見分け方まで解説します。
コーキング(シーリング)が切れると家が腐る理由
コーキングは外壁の継ぎ目に充填されるゴム状の素材で、防水性と柔軟性を兼ね備えています。
築10年を過ぎると劣化が始まり、ひび割れや剥がれが目立つようになります。
この劣化を放置すると、住宅に深刻なダメージを与えることになります。
防水の最終防衛
コーキングは外壁材の隙間から雨水が入り込むのを防ぐ「最後の砦」です。
ひび割れや剥離が起きると、雨水がサイディングの裏側に侵入し、断熱材や木材の柱がカビや腐食を起こします。
気づいたときには壁の内部がボロボロになっていた、というケースも珍しくありません。
建物のクッション
サイディングボードは気温の変化で膨張・収縮を繰り返しています。
また、地震や強風で建物が揺れると、外壁材同士がぶつかり合う力が発生しますが、コーキングはゴムのような弾力性でこの動きを吸収し、外壁材が割れるのを防いでいます。
コーキングが硬化すると、このクッション機能が失われ、外壁材にひびが入りやすくなります。
「ひび割れ(クラック)」「肉やせ」「剥離」は危険信号
コーキングの劣化症状には、表面に細かいひびが入る「クラック」、厚みが減って痩せてくる「肉やせ」、外壁材との接着面から剥がれる「剥離」があります。
これらの症状が見られたら要注意です。
放置すると雨漏りが発生し、内部の木材や断熱材の交換が必要になれば、修繕費用は数百万円に膨らむこともあります。
「打ち替え」vs「増し打ち」どっちを選ぶ?
コーキングの補修方法には「打ち替え」と「増し打ち」の2種類があります。
それぞれの特徴と費用相場を理解して、適切な工法を選びましょう。
1. 打ち替え【推奨:900円〜1,200円/m】
打ち替えは、既存の古いコーキングをカッターで全て撤去し、新しいコーキングを充填する工法です。
まず既存のコーキングをカッターや専用工具で丁寧に取り除きます。
その後、プライマー(接着剤)を塗布し、新しいコーキング材を充填しますが、撤去作業が加わる分、手間と時間がかかります。
打ち替えの最大のメリットは、耐久性の高さです。
古いコーキングを全て取り除くため、新しいコーキングがしっかりと外壁材に密着し、7〜10年程度の耐久性が期待できます。
撤去時に目地の内部状態を確認できるのもメリットです。
一般的な2階建て住宅(目地の長さ約180m)の場合、打ち替え費用は150,000〜220,000円程度です。
これに足場代を加えると、総額300,000〜450,000円程度になります。
2. 増し打ち【安価:500円〜900円/m】
増し打ちは、既存のコーキングの上から新しいコーキング材を塗り重ねる工法です。
既存のコーキングを撤去せずに、その上から新しいコーキングを充填します。
撤去作業が不要なため、施工時間が短く費用も安くなります。
同じ180mの施工で、90,000〜160,000円程度が目安です。
増し打ちの問題点は、新しいコーキングの厚みが十分に確保できないことです。
本来必要な厚み(10mm程度)が取れず、数年で剥がれてしまうリスクがあります。
また、古いコーキングと新しいコーキングの相性が悪いと剥離することも珍しくありません。
増し打ちが許されるのは、窓サッシ周りなど撤去すると防水シートを傷つける恐れがある場所に限られます。
「コーキング打ち替え」の落とし穴。メーター単価以外にかかる「足場代」
コーキング工事の費用を考える際、見落としがちなのが「足場代」です。
メーター単価だけで計算すると、実際の見積もりを見て驚くことになります。
2階建て住宅の目地補修には仮設足場が必須
2階部分のコーキング補修には、安全に作業するための足場が必要です。
足場の設置・撤去だけで150,000〜200,000円程度かかり、コーキング工事の総額は大きく跳ね上がります。
「ハシゴでやります」という業者は危険
「足場を組まずにハシゴで対応します」という業者は要注意です。
不安定な体勢での作業は、コーキングの充填ムラや仕上がりの悪さにつながります。
プライマーの塗り忘れなど、基本的な工程が雑になりがちです。
足場を組むなら外壁塗装・屋根塗装とセットでやるのがお得
一部のコーキングだけ傷んでいる場合、補修費用自体は数万円で済みます。
しかし、そのために150,000〜200,000円の足場を組むのは非常にもったいない話です。
コーキングの寿命は7〜10年、外壁塗装の寿命も10〜15年程度です。
どちらも足場が必要な工事なので、同じタイミングでまとめて行えば足場代は1回分で済みます。
コーキングの劣化に気づいたら、外壁塗装の時期も合わせて検討しましょう。
DIYでコーキング修理は可能?ホームセンターの材料で失敗するパターン
ホームセンターにはコーキング材が売られており、「自分でやれば安く済む」と考える方もいるでしょう。
しかし、外壁のコーキングDIYは失敗のリスクが非常に高いです。
材料ミス
ホームセンターで目につくシリコン系コーキングは、お風呂には最適ですが外壁には不向きです。
塗料をはじく性質があるため、後から外壁塗装ができなくなります。
外壁には「変成シリコン系」など塗装可能な材料を選ぶ必要があります。
プライマー不足
コーキング充填前にはプライマー(下塗り材)を塗布します。
これを省略すると半年〜1年で剥がれ始めます。
DIYではプライマーの存在を知らない、または面倒で省略してしまうケースが多いです。
見た目の悪化
コーキングをきれいに仕上げるにはマスキングテープでの養生が必須です。
テープの貼り方が雑だと、コーキングがはみ出して外壁を汚し、修正不可能になることもあります。
雨漏り
外壁には万が一雨水が入っても排出できる「水抜き穴」が設けられている場所があります。
DIYで全ての穴を塞いでしまうと、入り込んだ水の逃げ道がなくなり、かえって雨漏りを引き起こします。
良い業者を見抜くポイントは?
せっかく足場を組んでコーキング工事をするなら、できるだけ長持ちさせたいものです。
以下、業者選びのポイントをご紹介します。
15年以上持つ「高耐久シーリング材」を使用している
通常のコーキングの寿命は7〜10年ですが、近年は20〜30年の耐久性を持つ高耐久シーリング材が人気です。
代表的なのが「オートンイクシード」で、特殊な「LSポリマー」を配合し従来の2〜3倍の耐久性を実現しています。
価格は通常の1.5倍程度ですが、長期的にはコスパに優れています。
見積もりに「シーリング材の商品名」が書かれている
信頼できる業者は、見積書にシーリング材の商品名を明記するのが通常です。
「コーキング工事一式」としか書かれていない場合、安価で耐久性の低い材料を使われる可能性があります。
「削ぎ落とし」や「清掃」を丁寧に行ってくれるか
打ち替え工事では、撤去後に残ったカスをきれいに削ぎ落とし、目地内部を清掃してからプライマーを塗布する、基本工程を丁寧に行う業者を選びましょう。
まとめ
コーキングは外壁の防水を守る重要な部材です。
コーキングの劣化は雨漏りの入り口といって過言ではありません。
ひび割れを見つけたら即プロに相談しましょう。
表面のひび割れや肉やせ、剥離といった症状は雨水侵入の危険信号です。
早めに専門業者に診てもらうことをおすすめします。
「増し打ち」ではなく、既存を撤去する「打ち替え」を選ぶのが長持ちの秘訣です。
増し打ちは安価ですが、厚みが確保できず早期に剥がれるリスクがあります。
外壁の目地は打ち替えを選び、7〜10年の耐久性を確保しましょう。
足場代を無駄にしないためにも、外壁塗装の見積もりと合わせて検討するのも賢い手段です。
コーキング工事には150,000〜200,000円の足場代がかかります。
外壁塗装や屋根塗装も同時に行えばトータルコストを抑えられます。
複数の業者から相見積もりを取り、適正価格を把握しましょう。