60代のキッチンリフォームは何をすべきか?老後で後悔しない考え方

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60代を迎え、子どもが独立するなど家族構成やライフスタイルの変化に伴い、キッチンの使い方が変わり、現在のキッチンの傷みや使いにくさが気になり始める方も多いでしょう。

「せっかくのマイホームだから、リフォームして長く使いたい」と考える方もいるかと思います。

キッチンは火や刃物を使用し、立ち作業が多い場所であるため、転倒ややけどなどのリスクが高いです。そのため、事前の準備を十分に行わずにリフォームを依頼すると、かえって使い勝手が悪くなってしまう可能性もあります。

本記事では、老後の生活で後悔しないために、キッチンをどのようにリフォームすべきかについて解説していますので、参考にしていただければと思います。

60代のキッチンで起きやすい不便とリフォームを考えるきっかけ

ライフスタイルに加え、身体の状態も変化し始めるセカンドライフ世代においては、長年使い続けてきたキッチンでも、「最近、調理や後片付けがしにくい」「物の出し入れが不便に感じる」と思うことも増えるかもしれません。

では、どのような場合にリフォームを検討すると良いのでしょうか。

キッチンの高さが合わないと感じる

年を重ねるにつれて、足腰が弱る、身長が縮むことから従来のキッチンの高さでは使いづらいと感じる場面が増えることがあります。

キッチンの作業台の高さは、使用する人の体格や調理のスタイルに合わせて調整することが重要です。

一般的には80cm〜85cm程度が目安とされていますが、高齢者の場合は67cm〜75cm程度が適しているとされています。

また、立ち作業がつらくなってきた場合は、椅子に座ったまま作業できるスペースを設けるのもおすすめです。

収納スペースに不便を感じる

これまでは当然のようにやっていた、キッチン上部の棚や足元の引き出しへ調理器具や調味料をしまうことに苦労を感じ始めたらリフォームを検討すると良いでしょう。

高齢者向けのキッチンリフォームでは、腰から胸の高さに日常的に使うものをまとめて収納できる計画が理想的です。

高い位置や足元奥の収納に手を伸ばす必要がないよう、引き出し式キャビネットや上下に昇降する吊戸棚などの機能を取り入れることで、安全かつ効率的に作業ができるようになります。

コンロ周りのリスクが高まる

キッチンで欠かせないコンロについて、高齢者の使用を考えると火事のリスクからIHコンロが望ましいとされています。

ガスコンロの場合、火が燃え移ったときに素早く消火する必要がありますが、高齢者では反応が間に合わない可能性があります。

一方、IHであれば燃える危険性がなく、火事の心配が軽減されます。

ただし、IHは使用後もしばらく熱を持つため、鍋を移動した際に誤って手を触れて火傷するリスクがあります。

安全装置付きの製品を選ぶことが重要で、消し忘れ防止や調理油過熱防止機能が最新の機種にはほとんど備わっています。

これまでのキッチン動線に不便を感じる

これまで不便なく使えていたキッチンでも、「物にぶつかる」「キッチンマットにつまずく」といったことが増えてきた場合は、リフォームを検討するタイミングかもしれません。

高齢者がスムーズに調理を行うためには、「コンロ・シンク・冷蔵庫」の3点を結ぶワークトライアングルを意識することが大切です。

この三辺の合計が約350cm〜650cm程度に収まると、無理のない動作で効率よく作業できるとされています。

老後のキッチンリフォームで優先するべきポイント

作業がしやすい高さを意識する

長時間の立ち作業は足腰に負担がかかるため、高齢者向けのキッチンリフォームでは、座ったまま調理できる設計が推奨されます。

一般的なキッチンの高さは「身長÷2+5cm」で設定されていますが、座って作業するにはやや高めです。

高さ85cm〜90cmに設計された「ユニバーサルキッチン」は、高齢者に適した仕様となっています。

ユニバーサルキッチンでは、椅子や車いすに座った状態でも膝がぶつからないよう、カウンター下の収納が奥まった位置に配置されています。

足腰への負担が少ない収納スペースを設置

キッチンでは毎日、調理器具や食材、食器類の出し入れを行います。

高齢者向けのキッチンリフォームでは、腰から胸の高さに日常的に使うものをまとめて収納できる計画が理想的です。

かがんだり、手を伸ばして物をとったりする必要がないよう、引き出し式キャビネットや上下に昇降する吊戸棚などの機能を取り入れることで、安全かつ効率的に作業できるようになります。

余裕を持って動ける動線を意識する

老後のキッチンリフォームでは、移動の手間を減らせる動線設計にすることが重要です。

たとえば、多くの時間を過ごすリビング・ダイニングとキッチンを一体化すれば、移動距離を短くできます。

また、キッチンから冷蔵庫や食卓までの距離を短くしたい場合は、対面キッチンが適しています。

さらに、移動する動線に段差をなくすことで、転倒による事故のリスクも軽減できます。

IHコンロに交換する

高齢者向けのキッチンでは、火を使わないIHクッキングヒーターが多く採用されています。

鍋底だけを加熱する仕組みのため、うっかり袖が触れてもやけどのリスクが低く、消し忘れ防止機能など安全面の工夫も充実しています。

さらに、点火・消火の操作が簡単で、視認性の高いタッチパネル式の製品も多く、高齢者でも安心して使用できる点が魅力です。

 60代・老後のキッチンでよくある後悔と対策

IHにしたのに操作がわかりにくかった

火災リスクの低さや手入れのしやすさ、温度を正確に調節できる点など、IHコンロには多くの導入メリットがあります。

しかし、高齢者にとっては操作方法がわかりにくい場合もあるでしょう。

せっかくリフォームしても使いこなせなければ、調理の機会が減ってしまう可能性があります。

このような後悔を避けるためには、操作パネルがシンプルな機種を選ぶ、わかりやすいマニュアルが付いたものを選ぶ、そして火災防止のために消し忘れ防止機能が搭載された製品を選ぶことが重要です。

引き出し収納にしたら奥の物が取りづらかった

高齢者向けのキッチンリフォームでは、腰から胸の高さに日常的に使う物をまとめて収納できる設計が理想的とされています。

しかし、引き出し収納にしたことで奥の物が取りづらくなり、結果として足腰に負担がかかる動作を繰り返してしまうケースもあります。

このような場合には、市販の仕切り板を活用して引き出し内部を整理し、物が取りやすく見やすい状態にすると効果的です。

背面収納の高さが高すぎて使いにくかった

キッチンで高い位置の収納棚から物を取ろうとすると、バランスを崩して転倒する危険があります。年齢とともにバランス感覚は低下するため、高所での作業は特に注意が必要です。

また、高齢者の場合、腕や肩が上がらず奥まで手が届かないこともあります。

こうした問題を解決するのが電動昇降棚です。収納棚が自動で手元まで降りてくるため、踏み台を使わなくても簡単に物を取り出せます。

掃除が大変で思ったほどラクにならなかった

動線や収納に配慮していても、日々の掃除や洗い物で疲労が蓄積することがあります。

こうした後悔を避けるためには、汚れが落ちやすい材質や使いやすいデザインを選ぶことが大切です。

具体的には、ステンレス製のシンクを選ぶ、エンボス加工の天板を採用する、自動洗浄機能付き換気扇を導入する、食器洗い乾燥機を設置する、といった対策が有効です。

老後のキッチンリフォームでかかる費用相場

高齢者向けのキッチンリフォームには、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。

キッチンの種類やオプションの有無によって費用相場は異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。

リフォーム内容 費用相場
I型キッチン交換 60万円〜120万円前後
対面•セミオープン化 90万円〜160万円前後
IH +レンジフード交換 25万円〜45万円前後
背面収納•カップボード設置 20万円〜45万円前後
床材フローリング張替え 10万円〜25万円前後

現在使用しているキッチンと取り換える場合は、既存キッチンの処分費用がかかります。

昇降式収納は、既存の吊り戸棚に取り付けられない場合は新たに棚を設置する必要があります。

また、電気配線工事もほぼ必須となるため、複数の業者に依頼して見積もりを比較することが重要です。

リフォーム前に決めておくべき3つのこと

使用する家電を想定したコンセント位置の決定

コンセント位置を気にせずリフォームしてしまうと、下部や上部など使いにくい位置にコンセントがあることで、家電を使う度にかがんだり、手を伸ばしたりと足腰に負担がかかることになります。

そのため、電子レンジや冷蔵庫、炊飯器など日常的に使用する頻度が多い家電の数に対して、必要なコンセントの数と位置を事前に把握しておくことが重要です。

よく使うものは「腰〜目線」の高さに配置

食器棚や家電収納は毎日使用する場所であり、置く位置や高さが少し変わるだけで作業効率に大きな影響があります。

特に高い位置にある吊り戸棚は、踏み台を使う必要があるため転倒のリスクが高まることがあります。

よく使う物は腰から目線の高さにまとめる収納に見直すことで、無理な姿勢や余計な動作が減り、調理から片付けまでの作業が自然に楽になります。

将来を見据えた安全性や動線を最優先に

現在は無理なく日常生活を送れていても、将来いつ足腰が弱くなりバリアフリーが必要になるかはわかりません。

老後を見据えたリフォームでは、見た目の変化よりも「長く安心して使い続けられるか」を基準に設備を選ぶことが大切です。

特に耐久性や安全性、日常の動作を助ける機能は、年齢を重ねるほど価値が高まります。

無理な姿勢を減らす設備選びや、車椅子が通れる動線を意識することで、将来的にも安心して利用できるキッチンとなります。

まとめ

60代のキッチンリフォームで後悔しないためのポイントを解説しました。

高齢者向けキッチンリフォームの費用相場は、およそ60万円〜160万円です。

60代からのリフォームでは、見た目だけでなく、安全性と使いやすさを重視することが重要です。

転倒や火のリスクを減らす工夫が安心した生活につながるため、老後も安心して長く使える動線や設備を整えることで、現在だけでなく将来も使いやすいキッチンを実現できます。

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