瓦屋根を修理する費用の相場料金は?ケース別比較
瓦屋根の修理を検討しているけれど、費用がどれくらいかかるのか不安な方もおられることでしょう。
瓦屋根の修理費用は、どこが傷んでいるかによって大きく変わります。
この記事では、瓦屋根の修理費用をケース別に分かりやすく解説します。
ぜひ、現状の屋根の状態と照らし合わせながら、参考になさってください。
| タイプ | 価格帯 | メリット | デメリット |
| ズレ・浮き修理 | 80,000円~140,000円 | • 早期対応で雨漏りリスクを抑えられる • 瓦を再利用でき費用が安く済む • 1日程度で工事が完了するケースが多い |
• 固定方法の施工品質で耐久性が変わる • ラバーロック工法は不十分だと雨漏り原因に • 複数箇所のズレは下地点検も必要 |
| 割れ・欠け交換 | 70,000円~130,000円 | • 全体工事に比べ費用を大幅に抑えられる • 工期は1〜2日で完了 • 早期対応で下地へのダメージ拡大を防げる |
• 同じ瓦が廃盤で代替品になる場合も • 代替品は色味が微妙に異なることがある • 周囲の瓦の損傷確認も必要 |
| 棟瓦の積み直し | 180,000円~380,000円 | • 積み直しで耐風性・耐震性が向上 • 新しい施工法で再発リスクを抑えられる • 棟全体刷新で長期的な安心が得られる |
• 漆喰だけの部分補修は短期間で劣化の恐れ • 足場設置が必要で費用が加算される • 工期が3日〜1週間程度かかることも |
| 漆喰補修 | 100,000円~220,000円 | • 雨水侵入を防ぎ下地や躯体を守れる • 瓦の固定力回復でズレ・落下を予防 • 棟瓦積み直しより費用を抑えられる |
• 塗り重ねだけの簡易補修は寿命が短い • 既存漆喰をしっかり除去してから詰め直す • 棟瓦の状態も同時に点検すべき |
| 下地・防水シート補修 | 300,000円~550,000円 | • 雨漏りの根本原因を解消できる • 建物の躯体を守り住宅寿命を延ばせる • 補修後は長期間安心して暮らせる |
• 劣化範囲が大きいと葺き替え検討も必要 • 工期が1週間〜数週間かかることも • 発見が遅れるほど修理費用が膨らむ |
瓦屋根修理の費用相場とケース別価格例
瓦屋根の修理にかかる費用相場は、おおむね60,000円〜450,000円前後です。
ただし、以下の条件によって金額は大きく変動します。
- 劣化している部位(瓦本体・棟・漆喰・下地など)
- 施工範囲の広さ
- 足場の設置が必要かどうか
- 屋根の勾配や高さ
「瓦がズレているだけ」なのか「棟全体が歪んでいる」のか「雨漏りで下地まで傷んでいる」のかによって、工事内容も費用もまったく異なります。
まずは「どこに不具合があるのか」を明確にすることが重要です。
瓦がズレ・浮き・落下しているケース
主な特徴
- 台風・強風・地震などの影響で瓦の固定力が弱まっている
- 経年劣化により瓦を押さえている釘やビスが緩んでいる
- 一部の瓦が浮いたり、ズレて隙間ができている
費用相場:80,000円〜140,000円前後
瓦のズレ修理は、下地に問題がなければ瓦を元の位置に戻して再固定するだけで完了します。
比較的短時間で済み、部分修理の中では費用を抑えやすい工事です。
瓦ズレ修理のメリットと注意点
メリット
- 早期対応で雨漏りリスクを抑えられる
- 瓦を再利用できるため費用が安く済む
- 1日程度で工事が完了するケースが多い
注意点
- 固定方法(釘・ビス・ラバーロック)の施工品質によって耐久性が変わる
- ラバーロック工法は正しく施工しないと逆に雨漏りの原因になることがある
- 複数箇所にズレがある場合は下地の点検も必要
瓦が割れている・欠けているケース
主な特徴
- 飛来物や落下物の衝撃で瓦にヒビ・割れが発生している
- 経年劣化で瓦自体がもろくなり欠けている
- 割れた部分から雨水が侵入し、防水性能が低下している
費用相場:70,000円〜130,000円前後
割れた瓦を新しい瓦に差し替える部分交換で対応可能です。
破損が数枚程度であれば、比較的安価に修理できます。
割れ瓦交換のメリットと注意点
メリット
- 全体工事に比べて費用を大幅に抑えられる
- 部分交換なら工期も短く1日〜2日で完了する
- 早期対応で下地へのダメージ拡大を防げる
注意点
- 同じ色・形状・メーカーの瓦が廃盤になっている場合は代替品になる
- 代替品は色味が微妙に異なることがある
- 瓦の裏側や周囲の瓦にも損傷がないか確認が必要
棟瓦が歪み・崩れ・台風で損傷しているケース
主な特徴
- 屋根の頂上部分(棟)に積まれた瓦がずれたり崩れたりしている
- 強風や地震の影響で棟全体が歪んでいる
- 棟瓦を固定している銅線が切れたり緩んだりしている
費用相場:180,000円〜380,000円前後
棟瓦の修理は、既存の瓦をすべて取り外し、土台となる漆喰や心木を補修したうえで積み直す工事が必要です。
したがって、工程が多く手間がかかるため、費用も高めになります。
棟瓦修理のメリットと注意点
メリット
- 積み直しにより耐風性・耐震性が向上する
- 新しい施工法(ガイドライン工法など)で再発リスクを抑えられる
- 棟全体を刷新することで長期的な安心が得られる
注意点
- 漆喰だけの部分補修では短期間で再劣化する恐れがある
- 足場設置が必要になるケースが多く、その分の費用も加算される
- 工期は3日〜1週間程度かかることもある
漆喰の剥がれ・劣化が進行しているケース
主な特徴
- 棟瓦の隙間を埋めている漆喰にヒビ割れや剥がれが発生
- 漆喰が風化してボロボロと崩れ落ちている
- 内部に雨水が侵入しやすい状態になっている
費用相場:100,000円〜220,000円前後
漆喰は15年〜20年程度で劣化するため、定期的な詰め直しや塗り替えが必要です。
放置すると瓦のズレや雨漏りにつながります。
漆喰補修のメリットと注意点
メリット
- 雨水の侵入を防ぎ、下地や躯体を守ることができる
- 瓦の固定力が回復し、ズレや落下を予防できる
- 棟瓦の積み直しに比較して費用を抑えられる
注意点
- 塗り重ねるだけの簡易補修は寿命が短い
- 既存の漆喰をしっかり除去してから詰め直す必要がある
- 漆喰だけでなく棟瓦の状態も同時に点検すべき
雨漏りが発生し下地・防水シートまで劣化しているケース
主な特徴
- 室内への雨漏りがすでに発生している
- 屋根の下地や防水シート(ルーフィング)が腐食している
- 屋根裏や天井にシミやカビが見られる
費用相場:300,000円〜550,000円前後
雨漏りが下地まで達している場合は、瓦を剥がして防水シートや野地板を交換する大掛かりな工事が必要です。
劣化範囲が広いほど費用は高額になります。
下地補修のメリットと注意点
メリット
- 雨漏りの根本原因を解消できる
- 建物の躯体を守り、住宅全体の寿命を延ばすことができる
- 補修後は長期間安心して暮らせる
注意点
- 劣化範囲が大きい場合は葺き替え(全面工事)の検討も必要
- 工期が1週間〜数週間かかることもある
- 発見が遅れるほど修理費用が膨らむため、早期対応が重要
瓦屋根修理を検討する際のポイント
瓦屋根の修理で失敗しないためには、業者選びと事前確認が重要です。
以下のそのポイントを解説いたします。
「どこが悪いか」を写真付きで説明できる業者を選ぶ
現地調査の際に屋根の状態を撮影し、画像を見せながら丁寧に説明してくれる業者は信頼できると言えるでしょう。
「何となく傷んでいる」といった曖昧な説明しかしない業者は避けるべきです。
棟は部分補修より積み直しのほうが再発防止になる
漆喰の詰め直しだけでは数年で再劣化するケースがあります。
棟全体に歪みやズレがある場合は、積み直し工事を検討したほうが結果的にコストパフォーマンスが良くなります。
点検の際は屋根表面だけでなく下地劣化の有無も確認する
瓦の表面が綺麗に見えても、その下の防水シートや野地板が傷んでいることがあります。
しっかりと下地の状態まで点検してくれる業者を選びましょう。
保証期間・施工範囲・材料品番が見積書に明記されているか確認する
見積書に工事内容や使用材料、保証の詳細が記載されていない場合はトラブルの元です。
不明点があれば契約前に必ず確認するようにしましょう。
まとめ
瓦屋根の修理費用は、症状や施工範囲によって60,000円〜550,000円前後と幅があります。
- ズレ・浮き修理:80,000円〜140,000円前後
- 割れ・欠け交換:70,000円〜130,000円前後
- 棟瓦の積み直し:180,000円〜380,000円前後
- 漆喰補修:100,000円〜220,000円前後
- 下地・防水シート補修:300,000円〜550,000円前後
まずは「ズレ・割れ・棟・漆喰・下地のどこに問題があるのか」を明確にすることが大切です。
業者を選ぶ際は、以下の3点が揃っているかをチェックしましょう。
- 写真付きで劣化状況を説明してくれる
- 施工内容・使用材料が見積書に明記されている
- 工事後の保証がある
複数の業者から見積もりを取り、内容を比較検討することで、適正価格で信頼できる業者に依頼できます。
屋根の異変に気づいたら、早めに点検を依頼して被害の拡大を防ぎましょう。