トタン屋根を塗装する費用の相場は?ケース別に料金を比較
トタン屋根の塗装を検討する際、最も気になるのは費用相場です。
屋根の劣化状況や選ぶ塗料によって金額は大きく変わります。
トタン屋根は金属製であるため、定期的な塗装メンテナンスが欠かせません。
適切なタイミングで塗装を行えば、屋根の寿命を大幅に延ばすことができます。
この記事では、トタン屋根塗装の費用相場を劣化状況別に詳しく解説します。
また、塗装を長持ちさせるために押さえておくべき重要なポイントもご紹介しますので、工事を検討している方はぜひ参考にしてください。
トタン屋根塗装の費用相場とケース別価格例
トタン屋根の塗装費用は、足場設置費用を含めておおよそ450,000円〜800,000円程度が目安です。
ただし、屋根面積が広い場合や劣化が進んでいる場合、高耐久塗料を選択する場合には100万円以上となるケースもあります
この金額は25坪程度の一般的な住宅(屋根面積がおおよそ60〜70㎡)を想定したものであり、屋根面積が広かったり、劣化が進んでいたり、塗料グレードが高かったりすると、これよりさらに高額になることもあります。
劣化が軽度で表面保護のために塗装するケース
トタン屋根の表面に色褪せやチョーキング(塗膜が粉状になる現象)、軽い汚れが見られる段階で塗装する場合、この時期はまだ錆がほとんど発生しておらず、塗膜による保護機能が残っている状態であることから、比較的シンプルな工程で済みます。
チョーキングは塗料に含まれる樹脂が紫外線で劣化し、顔料が表面に浮き出る現象です。
手で屋根を触ると白い粉が付くようであれば、塗装を検討する時期に入っています。
費用目安:450,000円〜700,000円前後
工事内容は、高圧洗浄で汚れやチョーキングを除去し、軽度のケレン作業(4種ケレン)を行った後、錆止め下塗り、中塗り、上塗りの3回塗装が基本です。
足場設置費用も含まれます。
軽度劣化時の塗装におけるメリットと注意点
メリット
- 塗膜を保護することで耐久性が回復し、屋根の寿命が延びる
- 大規模な補修や錆落としが不要なため、費用を抑えられる
- 工期が比較的短く、10日〜15日程度で完了する
注意点
- 目視では分からない箇所でも、一部に錆が進行していると再劣化が早まる
- 軒先部分は雨水が集中するため、念入りな点検が必要
- 塗装業者がしっかりケレン作業を行っているか確認する
早めの塗装は結果的にコストを抑えることにつながります。
劣化が進んでからでは、下地処理に多くの手間がかかり、費用が跳ね上がってしまいます。
全体的に錆が進行している状態から塗装するケース
トタン屋根全体に錆が見られ、保護機能が著しく低下している段階です。
錆が広がっている場合は、電動工具を使った本格的なケレン作業(3種ケレン)が必要になります。
トタン屋根はメッキが剥がれた部分から鉄が露出すると錆が発生し、急速に広がってしまいます。
放置すると腐食が進み、穴が開いて雨漏りの原因になります。
費用目安:600,000円〜850,000円前後
工事内容としては、ワイヤーブラシやディスクサンダーなどの電動工具でケレン作業を行った上で、錆びている塗膜は完全に除去し、まだ密着力がある塗膜(活膜)は残します。
その後、エポキシ樹脂系の高品質な錆止め塗料で下塗りを行い、上塗り2回を施します。
錆進行時の塗装におけるメリットと注意点
メリット
- 適切な下地処理を行えば、塗装で屋根の寿命を延ばすことができる
- 葺き替え工事と比較すると、費用を半分以下に抑えられる
- 錆止め塗料と上塗り塗料の組み合わせで、錆の再発を防げる
注意点
- ケレン処理が不十分だと、塗装後数年で浮きや剥がれが生じる
- 錆の進行が激しく、穴が開いている箇所がある場合は塗装では対応できない
- 軒先内部の木材が腐食している場合は葺き替えを検討する必要がある
錆が進んでいる場合、下地処理の品質が塗装の耐久性を大きく左右します。
見積もりの際は、ケレン作業の内容を詳しく確認しましょう。
遮熱塗料で断熱性能も高めたいケース
夏季の室温上昇を抑える目的で、遮熱塗料を使用するケースです。トタン屋根は薄い金属でできているため、熱伝導率が高く、太陽光をよく吸収します。
遮熱塗料は、太陽光の赤外線(近赤外線)を反射・放射しやすくする特殊な顔料や構造を含んでおり、屋根表面温度をおおよそ8〜20℃程度低下させるケースも報告されています。
ただし、その効果は、屋根材の状態、施工の品質、立地・日当たり・塗料グレード、屋根の断熱性など多くの条件に左右されるので注意が必要です。
費用目安:700,000円〜950,000円前後
工事内容は通常の塗装と同じですが、使用する塗料が高性能なため材料費が上がります。
遮熱塗料塗装のメリットと注意点
メリット
- 室内温度の上昇を抑え、電気代の節約につながる
- 屋根表面温度が下がることで、屋根材の熱による劣化を軽減できる
- 夏場の快適性が大幅に向上し、特に2階の暑さが和らぐ
注意点
- 通常塗料より単価が高く、初期費用の負担が大きい
- 色によって遮熱効果が大きく変わる(白やクリーム系の明るい色ほど効果が高い)
- 黒や濃い色を選ぶと、遮熱塗料を使っても効果が限定的になる
遮熱塗料を選ぶ際は、住まいの環境と予算を考慮して判断しましょう。
日当たりが良く、夏の暑さに悩んでいる住宅には特におすすめです。
トタン屋根塗装で重要になるポイント
トタン屋根の塗装を長持ちさせるには、いくつかの重要なポイントがあります。
塗料選びだけでなく、工程の品質が耐久性を大きく左右します。
錆処理(ケレン)と錆止め下塗りが耐久性を左右する
ケレンとは、錆や古い塗膜を除去して塗料の密着性を高める下地処理であり、トタン屋根塗装では最も重要な工程です。
ケレンが不十分なまま塗装すると、数ヶ月〜数年で剥がれや錆の再発を招いてしまう恐れがあります。
ケレン後は必ず錆止め塗料で下塗りを行うことも重要です。
錆止め塗料は錆の進行を抑え、上塗り塗料との密着力を高める役割を果たします。
特にエポキシ樹脂系の2液型錆止め塗料は効果が高く、長期的なコストパフォーマンスに優れています。
金属屋根には柔軟性のある塗膜が適している
トタン屋根は温度変化で伸縮を繰り返すため、硬い塗膜だとひび割れが起きやすくなります。
柔軟性のあるウレタン系やシリコン系の塗料なら、温度変化に追従して剥がれや割れを防げます。
耐用年数はウレタン塗料で6〜9年、シリコン塗料で8〜13年程度です。
さらに耐久性を求める場合はフッ素塗料(12〜18年)がおすすめですが、費用は高くなります。
色選びは遮熱効果を考慮するべき
遮熱塗料を使う場合、色選びが効果に直結します。
明度が高いほど日射反射率が高くなり、白やクリーム系など明るい色は日射反射率がおおよそ50％〜80％に達し、遮熱効果を比較的高く発揮します。
一方、黒や濃い茶色などの暗い色は日射反射率が一般的な傾向としておおよそ20％〜40％にとどまり、効果が限定的になります。
ただし、屋根の色は建物全体の外観に影響するため、遮熱効果だけでなくデザイン性も考慮して選びましょう。
近年は暗い色でも日射反射率を高めた遮熱塗料が開発されていますが、明るい色には及びません。
雨漏りが疑われる場合は板金点検も必要
トタン屋根から雨漏りが発生している場合、塗装だけでは解決できません。
錆による穴あき、釘の浮き、軒先板金の腐食など、構造的な問題がある可能性があります。
特に軒先は雨水が集中して錆が進行しやすく、内部の木材が腐食しているケースも考えられます。
塗装前には専門業者による板金の状態確認が必須です。
必要に応じて部分的な板金補修や葺き替え工事を検討しましょう。
築30年以上経過したトタン屋根の場合、塗装よりも葺き替えの方が適している場合もあります。
まとめ
トタン屋根塗装の費用は、錆の進行度と塗料の種類によって大きく変動し、450,000円〜950,000円前後が目安です。
特に重要なのは、錆処理(ケレン)の品質です。下地処理を丁寧に行い、適切な錆止め下塗りを施すことで、塗装の耐久性が大幅に向上します。
遮熱塗料を選ぶ場合、色選びも重要です。
明るい色ほど日射反射率が高く、室温上昇を抑える効果が期待できます。
夏の暑さに悩んでいる住宅には、初期費用は高くても長期的には満足度が高い選択肢です。
条件を踏まえて正しく施工すれば、10年以上の耐久性を確保でき、長期的な安心につながります。
信頼できる業者に相見積もりを依頼し、工程の詳細をしっかり確認した上で施工してもらうことも非常に重要です。
